警察官の犯罪は追及されているか?

特別公務員暴行陵虐罪

警官による性犯罪の増加は誰の目にも明らかだ。
警察官の立場を利用した悪質なケースも目立っている。
件数の大小はさておき、刑事司法は警察官の性犯罪に大甘だ。
また、警官の性犯罪が多い要因には、どうやら警察官の歪んだ特権意識があるようだ。
警察官の性犯罪を通し、刑事司法の根本的な問題を考えてみたい。

取調室でレイプ -代用監獄レイプ事件-
2005年6月8日午後、東京都台東区西浅草1の警視庁留置管理課菊屋橋分室内の取調室で、同庁組織犯罪対策5課警部補今井浩之警部補が、女性にわいせつな行為をし、同10日午後には取調室で性的関係を持った疑いで逮捕された。
被害女性は4月中旬、覚せい剤取締法違反(所持)容疑などで逮捕され、拘置中だった。今井警部補は逮捕以降、二十数回、女性を取り調べていた。女性は「逆らえなかった」と話しているという。
※朝日・読売・毎日・産経・東京新聞は、上記記事と同程度の情報量で、事件から約1ヶ月も経過した後の7月7日、ロンドンテロの報道と同じ日に報じた。

興味本位に見られがちなこの事件は、ニッポンの刑事司法制度における根本的な問題を映している。

時代遅れの刑事司法 その1 -密室での取調べ-

ニッポンでは、代用監獄に容疑者を拘禁し、警察の物理的・心理的支配下においたうえで、外部との連絡を遮断し、長時間の取調べで心理的孤立状態をつくりだして自白を迫る(朝日新聞社会部編「代用監獄」)、という手法が当然のように行われている。しかし、諸外国にくらべると、どうやらニッポンの刑事司法制度はずいぶんと時代おくれのようだ。

  諸外国または国際人権条約の基準 ニッポン
逮捕後の取調べの弁護人立合い 認められている 認められていない
逮捕後の拘束期間 72時間(米国の場合) 552時間(23日間)
→別件再逮捕によりその数倍が可能
捜査と収監 分離されている 分離されていない(代用監獄システム)
取調べの時間 規定されている 事実上無制限
起訴前の保釈 認められている 認められていない
起訴前の国選弁護制度 起訴前の国選弁護制度がある 起訴前の国選弁護制度はない

諸外国では、捜査と収監の分離が徹底しており、弁護人の立会いも実施されている。さらに、取調べの録画・録音も認められている。このような他国のシステムは、捜査機関の暴走を防ぐためである。

  アメリカ
イギリス フランス イタリア 台湾 香港 韓国 ニッポン
弁護士立会い
×
録画・録音 × ×

このように他国と比較すれば、密室での尋問を容認とする日本の刑事司法制度には、捜査の誤作動防止システムがないに等しいことが明らかとなる。こうしたニッポンの現状に対し、国連の人権規約委員会は、1980年台後半から、問題を提起している。

国連の人権規約委員会の勧告
刑事裁判における有罪判決の多くが自白に基づく事実に深く懸念を有する。
自白強要を排除するために、取調べが厳格に監視され、録画・録音されることを勧告する。(→外務省訳はこちら

対する法務省は、勧告を拒否し、次のような拒否理由をあげている。

  • 取調べが録画・録音されると被疑者は真実を話さない
  • 録画・録音(取調べの可視化)に莫大な費用と手間がかかる。

時代遅れの刑事司法 その2 -供述調書の写しも拒絶-

ニッポンの刑事司法は、逮捕後の密室取調べを正当化するだけでなく、任意の取調べにおいても時代おくれである。
書類主義のニッポンにおいて、警察官の書く供述調書は司法判断の重要な材料となる。しかしながら、この供述調書のコピーを被疑者が求めても、警察・検察は決してその写しを渡そうとはしない。共通する拒否理由は、刑事訴訟法第47条である。

刑事訴訟法第47条
訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

しかしながら、「公にする」とは、不特定多数を対象にした文言である。それゆえ、当事者自身の供述をまとめた文書を当事者本人に渡すことを「公にする」と解釈することは、拡大解釈であるといわざるを得ないのである。

このような捜査機関の秘匿主義は、捜査書類の偽造を蔓延させているようだ。兵庫県警の捜査書類ねつ造事件を参考にして、捜査のあり方がこのままでよいのかどうかを考えてみよう(→兵庫新聞特集 兵庫県警 捜査書類ねつ造)。なお、この事件は、取締りのノルマを警察が公式に認めた初めてのケースである。

時代遅れの刑事司法 その3 -法の下の不平等-

レイプ事件のあった菊屋橋分室が建て変えられるずっと前に、当時24歳の女性に対する陵虐行為が、この女性の公判文書に綴られている。

被告人は、本件逮捕直後、菊屋橋分室において、衣服を全て剥ぎ取られ、男性警官を含む警察官らが見守る中、全裸状態で鏡をまたぎ、腰を上下する動作を強要された。

身体捜索令状により、肛門や膣内に指を入れる方法による身体捜索が行われた。

取調べ途中に、被告人が手洗いに行くときには、男性の取調べ担当警察官が腰縄を持って付き添い、被告人が用を足している間トイレのドアを開けたまま腰縄の一方を持ってドアの外に待機し、ときには、用を足す被告人を覗き込んで、「生理でもないのに、なんで、あんた、ナプキンを使うんだ」とくちばしを挟み、また、被告人の生理が止まっているのを知ると、取調べの中で男性取調官が、「妊娠しているんじゃないか」「夫とどういう性関係だったんだ」としつこく聞くなど、性的嫌がらせ、性的虐待としか言いようのない拷問的処遇が続いた

終戦から数十年を経てもなお、このような非人道的な取調べが行われていることは、1980年代後半に国際人権連盟(FIDH)とアムネスティ・インターナショナルの知るところとなった。そして、ニッポンの刑事司法の現状調査が行われ、報告書がまとめられている。そのひとつ「パーカー・ジョデル報告書」は、広範な肉体的・心理的拷問が行われていること、権限乱用のもとで入手した自白が利用されていることを強く批判している。

また、1998年、国連人権委員会は、ニッポンが性犯罪について寛容であることを次のように指摘した。

国連人権委員会の指摘
委員会は、女性に対する暴力、特に家庭内暴力及び強姦、の高い発生率及びこの慣行の根絶のための改善措置の不存在について引き続き厳に懸念を有する。委員会は、日本の裁判所が、性交の強要を含む家庭内暴力が結婚生活の通常の範囲と考えているように思われることについて困惑している。

2013年5月にジュネーブで行われた国連拷問禁止委員会では、日本の警察や検察の取り調べに弁護人の立ち会いがないことなどが問題視され、日本の刑事司法は「中世」のものだと揶揄された。(弁護士ドットコム

一方、ニッポンの司法は、逆に閉鎖性を強める方向に舵を切った。特定秘密保護法を成立させ、広範な政府情報を秘密にし、秘密に近づく者に厳罰を科すことができるようにした。また、証拠の目的外使用(2005年改正刑訴法第281の4)を積極的に運用するようになり、冤罪に対する言論活動を著しく困難にした。(証拠の目的外使用に対する日弁連の声明Yahoo!ニュース

高知白バイ事件においては、事件発生当初より冤罪の疑いが広く報道され、警察による証拠の捏造疑惑や加害者と利害が伴わない証人が報道された。にもかかわらず、司法は、ことごとく冤罪の証拠を退け、加害者を有罪とした。

こうした状況を見る限り、やはり国連の指摘するとおり、日本の刑事司法は「中世」のものだといわざるを得ない。

そのほか警官による最近のわいせつ事件

集団強姦の警察官現職警官と警察OBが集団強姦に参加
大阪府警箕面署刑事課の梅本大輔巡査部長と、四條畷署に所属していた警察OB巡査長が、他の数人と共謀して、20代の女性をホテルに監禁し、両手を縛、目隠しをするなどして、集団で強姦した。後に大阪地検は、逮捕された梅本巡査部長を、理由を示すことなく、処分保留で釈放した。 (初報道は2015.9.18)
巡回連絡で知った小学4年生をわいせつ目的で誘拐未遂
巡回連絡で知った小4女児をわいせつ目的で誘拐しようとした群馬県警秋山暢大巡査の初公判が行なわれた。誘拐の口実は「お父さんが交通事故にあった」である(初公判より引用)。なお、秋山暢大巡査の逮捕は、ニュースとして一切報じられていない。ニュースになったのは、連休明け初日に設定された初公判からである。警察とマスメディアと裁判所の情報操作を示す“事件”である。(初報道は公判1回目の2015.5.7)
痴漢捜査担当の鉄道捜査官が駅前で痴漢
神奈川県警察鉄道警察隊の長崎裕憲巡査長(30)が、JR平塚駅西口の屋内駐輪場で、自転車を出そうとしていた女子大生(19)に後ろから近づき、服の上から尻を触った。女子大生が悲鳴を上げたため、巡査長は逃走。近くにいたアルバイトの男性(30)が追い掛けて、現場から約50メートル離れた路上で取り押さえられた。(2014.10.29)
女子高生に路上でわいせつ行為
女性に下半身を露出して逮捕されていた所沢署交通課の中村哲也巡査長(31)が、3月6日には日高市内の路上を歩いていた女子高生を後ろから押さえつけ、身体を触ったとして強制わいせつの容疑で再逮捕された。(2013.10.3)
大学の女子トイレでのぞきの巡査部長、大学の女子寮でもわいせつ行為
兵庫県加東市の兵庫教育大のキャンパス1階の女子トイレの個室に進入し、壁をよじ登って隣の個室の女性を上からのぞいたとして、兵庫県警本部警備課の上芝正訓巡査部長(30)が逮捕された。上芝巡査部長は、同県加東市の兵庫教育大の女子寮の風呂場に侵入し、入浴中の女性(24)の腰などを触ったとて再逮捕された。兵教大では他にも同様の被害があったという (2013.4.15-25)
高校生に淫行し、スマホで撮影した行為中の写真で脅迫
高校2年の女子生徒(16)と淫らな行為をし、「スマートフォンで行為を撮影した動画を売る」などと脅し、女子生徒に裸の画像をメールで送るよう要求していたとして、大阪府警柏原署地域課鶴岡辰弥巡査(24)が、県青少年愛護条例違反容疑だけで逮捕された。(2013.8.27報道)
巡査長が20代女性をレイプ
北海道警が北見署の巡査長が、20台の女性を、飲み会の後、自宅に誘い、レイプした、 との匿名の情報が、事件から1年以上経って道警に寄せられ、巡査長は強姦容疑で逮捕された。(2012.9.3報道) 道警は、巡査長を懲戒処分としたが、示談が成立したとして、名前を公表せず、起訴も見送った。
海水浴場で強姦未遂
海水浴場で強姦未遂
白昼の海水浴場で強姦未遂をしたとして、大阪府警布施署地域課の永田昌也巡査長(27)が準強姦容疑で逮捕された。永田巡査長ら警官5人は、海水浴場で出会った専門学校生3人に酒を一気飲みさせた。22歳と25歳の巡査2人は、少女1人をボートに乗せ、海上で胸を触るなどした。永田巡査長は、体調不良を訴える少女を砂浜に置かれたゴムボートに乗せ、強姦しようとした。現場はレストハウスの前で、周囲に遮るものがなく、大勢の海水浴客が事件を目撃していた。(2012.08.03)
強姦目的で同僚の女性警察官宅に忍び込んだ警察官が近所の男性に現行犯で逮捕された(2012.5.25逮捕)
長崎県警大村署交通課の岡田章英巡査が強姦目的で同僚女性(27)宅に忍び込み、帰宅した女性に乱暴しようとしたが大声を出して抵抗され、諦めて逃げるところを近所の男性に取り押さえられた。捜査後、強姦致傷容疑を加えて送検された。
再現映像
帰宅途中に強制わいせつ
2012年4月7日、長野県警千曲署の河原裕介巡査長(35)が、長野市篠ノ井の駐車場で、帰宅しようとしていた20代の会社員女性が止めていた乗用車に運転席側から乗り込み、女性の口を押さえてわいせつ行為を行った。同月13日にも同様の手口で犯行に及び、さらに45分後、別の場所のアパートで女性を脅し体を触った後、下着を奪い逃走した。7日の犯行の際、被害女性の知人が、逃走する巡査長の車のナンバーを控えていたことから、巡査長は同月17日に逮捕された。(2012.04.17)
中学生連続レイプ未遂
再現映像
愛知県警豊橋署地域課の森崎港平巡査(21)が、女子中学生(13)宅に侵入し、わいせつな行為をし、約15分後にも別の女子中学生(14)にわいせつな行為をしようとした、 強制わいせつなどの疑いで逮捕された。(2011.12.27)
巡査長が義理の娘を強姦未遂
警視庁小金井警察署地域課の加賀次男巡査長(60)が、埼玉・川越市の自宅で、再婚相手の次女(26)をレイプしようとしたとして強姦未遂の容疑で逮捕された。(2009年1月16日)
中学生を縛ってSM行為
出会い系サイトで知り合った女性(26)にホテルでSM写真を撮影し、「写真をばらまかれたくなければ50万円用意しろ」などの恐喝を行ったとして大阪府警住吉署地域課の坂本秀俊巡査(25)が逮捕された。その後の調べで女子中学生を含む数人の女性を裸にしてロープで手を縛り、みだらな行為をしたことを認めた。(2007.5.9)
交番のおまわりさんが勤務中にストーカー殺人
再現映像
警視庁立川警察署地域課の友野秀則巡査長が、行為を寄せていた女性宅に、勤務中、制服姿で侵入し、拳銃で女性を射殺し、自殺した。当初の報道は、ストーカー殺人ではなく無理心中に統一されたが、友野巡査長がこの女性にストーカー行為を繰り返していたこと、殺害された女性が、複数の警察官に相談するが対応してもらえなかったことが次第に明らかとなっていった。そして、事件発生から25日後になって、ようやく警視庁はストーカー殺人であることを認めた。(2007.09.14東京新聞)
[web上のまとめ]
機動隊員の連続強姦事件
20代の女性を空き地に引き込み、「殺すぞ」などと脅して、レイプしようとした疑いで大阪府警第2機動隊の吉本達軌巡査長(25)が逮捕された。 この巡査長は、別の強姦未遂で再逮捕され、さらに強姦致傷など計4件の犯行を認めている。「レイプもののビデオで興奮し、衝動が抑えられなくなった。」などと供述しているという。(2006.04.21)
巡査長が小学生をレイプ
小学生の女児をレイプしたとして、兵庫県警甲子園署地域課の中村和洋巡査長が起訴された。(2005.08)
警部補の強姦未遂
北海道警察江別署地域課の佐藤幸男警部補が知人女性への強姦未遂で逮捕された。(2005.05.24)
女児連れ去り
3件の女児連れ去り事件で逮捕された熊本県警大牟田署巡査(24)が、採用前にも同様の事件を起こしていたとしての再逮捕(4度目)された。(2004.06.04)
巡査長の連続強姦
京都市伏見区でマンションの窓から侵入して21歳の女子大生を強姦し、その9日後にも、伏見区内の別のマンションに侵入し、23歳の女性会社員を強姦したとして、滋賀県警大津署警備課の菊田裕之巡査長(32)が逮捕された。(2001.12)

勤務中の警官による
わいせつ事件

事件現場で被害関係者らを盗撮
事件現場で被害者らのスカート内の盗撮を繰り返していた香川県警本部鑑識課東川充巡査長が、別の盗撮で起訴され、警察署内でも女性職員を盗撮していたことが公判過程で明らかとされた。
20代被疑者と捜査員が肉体関係
福岡県警早良署刑事2課の捜査員が、求職者支援給付金詐欺事件の20代の女性被疑者を呼び出し肉体関係を持ったとして本部長訓戒の処分を受けた。一方、女性は立件されなかった。なお、女性被疑者には家宅捜索が行われたのに、報道上の呼称は参考人に統一された。
警察手帳で18歳の少女を強姦
TomoNews JP
警視庁石神井警察署勤務の巡査部長(42)が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)や強姦(ごうかん)の疑いで東京地検に告発された。告発した弁護士によれば、2013年6月、埼玉県川口市の路上で当時17歳と18歳の少女2人に対し、「1人3万円払うからつき合って」と声をかけ、ホテルに連れ込んでわいせつ行為をしたという。さらに18歳の少女には警察手帳を見せて脅し、強姦したという。少女らは、警察官が寝入った後、証拠にしようと警察手帳をもってホテルを出たが、窃盗容疑で逮捕された。告発した弁護士は、「被害者が逆に捜査を受けた。事件から4カ月たっても巡査部長は何の処分もされていない」と記者会見で警察の対応を批判した。(2013.10.22)
パトカー内で女性警官にわいせつ
岡山県警岡山西署生活-安全課の清友紀行巡査部長(36)が、岡山県内の駐車場に停めた捜査車両の中で、後輩で20代の女性警察官に抱きつき、3時間に渡ってわいせつ行為をしたほか「ストーカーになってやろうか」と脅したとして、被害を受けた女性警察官から告訴された。(報道は2013.08.07)
職務質問装い女子高生を強姦未遂
2010年4月、警視庁大機動隊所属の大村弘一巡査部長が、職務質問を装って女子高生をクルマに連れ込み、「騒いだら殺すぞ」と脅し、強姦未遂をしたとして再逮捕された。大村巡査部長は依願退職した後、15歳の女子高生を同様の手口で連れ去ろうとして逮捕されていた。(報道は2013.06.14)
交番訪れた女性にわいせつ行為
NNNニュース
神奈川県警相模原署地域2課の辻大志巡査(24)が交番を訪れた女性から相談を受けた後、「ちょっと行こうか」と女性に声を掛けて2人で公園に行き、壁と遊具に囲まれて周囲から見えにくい場所で女性にわいせつな行為をしたとして逮捕された。被害を受けた女性が「交番で相談を聞いてくれた若い警察官にわいせつな行為をされた」と同署に相談して発覚した。(2013.4.22)
交通事故の捜査中にわいせつ行為
岐阜県警岐阜南署警務課付の巡査部長(44)が、交通事故の捜査中、関係者の女性3人に抱きついたとして、特別公務員暴行陵虐容疑で書類送検された。(2013.2.18)
職質でわいせつ目的の誘拐
NNNニュース
職務質問を装い、わいせつ目的で17歳の少女をホテルに連れ込んだとして、警視庁第2機動隊の大原和訓巡査長(26)が逮捕された。大原巡査長は、6日午後5時頃、徒歩で帰宅途中の少女(17)に、自分の警察手帳を見せ「援助交際の捜査の件で話が聞きたいんだけども、ちょっと来てくれる」などと声をかけ、近くのホテルに連れ込み、誘拐したとしたとされている。(2012.11.19)
交番内で女子高生を盗撮
神奈川県警逗子警察署新逗子駅前交番の角屋祐太巡査が、遺失物届けに訪れた女子生徒(17)のスカート内を事務机の下からビデオカメラで盗撮した。この事件は、後日、角屋巡査が電車内で向かいの席の女性のスカート内を盗み撮りしているところを、ほかの乗客に見つかり、取り押さえられたことから発覚した。(2012.06.12)
留置施設で勾留中の女性に性行為
NNNニュース
大阪府警牧方署総務課高木康幸警部補が、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された無職女性と留置施設内で性行為をしたとして、特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕された。枚方署の留置施設内で性的関係を持ったとして、高木容疑者に対する捜査の過程で、直属の部下だった看守の男性巡査長(28)も、別の事件で留置された女性(28)と釈放後に交際していたことも判明した。
通報者宅で乳をなめる
千葉県警茂原署地域課福田孝次巡査部長(33)が、勤務中の夜に、以前通報で訪れたことのある一人暮らしの女性宅(20歳代)に赴き、女性に抱きついて着衣をまくり上げ、乳首をなめるなどしたとして、千葉地検に特別公務員暴行陵虐罪で起訴された。(2010.09.22)
聞き込み中に下半身露出
旭川方面本部管内の警察署に勤務する交通課の男性巡査長(42)が、ひとり聞き込み捜査で訪問した女性宅で、下半身を露出し、性交渉を行った。女性の母親が帰宅したことによって巡査長の交渉は実らず、後日、この母親が署に相談して発覚した。北海道警監察官室は、停職3カ月の懲戒処分としたが、「犯罪に該当しなかった」として、立件を見送り巡査長の氏名と所属さえ公表しなかった。(2008.12.10)
パトカー内で17歳少女に淫行
鹿児島県警備部機動隊の中馬健巡査(24)が、出会い系サイトで知り合った17歳の少女を、勤務中のパトカーに連れ込み“みだらな行為”をしたとして逮捕された。(2008年10月16日)
〝任意捜査〟でハメ撮り
自ら任意取調べを行った30台の女性を呼び出し、スーパーの駐車場で性行為をしたとして、栃木県警栃木署刑事1課の上岡友洋容警部補(51)が逮捕された。後に特別公務員暴行陵虐罪で起訴され、女性の下半身を撮影していたことが報道された。 (2008.06.17)
交通違反の女子高生をレイプ1.2.3
和歌山県警県警機動捜査隊の田中建一巡査部長(31)が、ミニバイクで2人乗りで職務質問した17歳の女子高生を数時間後の勤務明けに電話で呼び出し、車でホテルに連れ込んでわいせつ行為をしたとして逮捕された。被害届けは強姦なのに、逮捕容疑は児童福祉法違反容疑だった。 (2007.08.10)
捜査名目で連れ込み
山梨県警笛吹署交通課の男性警部補(44)が、酒気帯び状態で軽症事故を起こした女性を、捜査書類の訂正を名目に呼び出し、食事をして車でホテルへ連れこもうとした。途中で逃げられ〝こと〟が発覚した。(2007.8.2)
釈放の取引き?
警視庁四谷署組織犯罪対策課の警部補(52)が、取調べを担当した20代の女性が釈放された後、この女性を誘い、一緒に居酒屋で食後し、ホテルに宿泊したとして減給3ヶ月の処分を受けた。(2005.9.3)
留置中の女性にわいせつ行為
滋賀県警高島署刑事課の今村円巡査部長が、窃盗容疑で大津署に留置された女性に対し、複数回の取調べ中にわいせつ行為をしたとして、特別公務員暴行陵虐の容疑で起訴された。(2005.08.19事件発生)
留置女性の取調べで乳をもむ
大阪府警東住吉署刑事課の警部補(49)が、取り調べ中の女性容疑者(23)の胸をもんだりしたとして逮捕された。(2005.07.28)
留置所の看守が勾留女性をレイプ
神奈川県警泉署の看守江渕剛巡査長(42)が、無断で作った合鍵で女性房に忍び込み、公判中の女性にわいせつ行為をしたとして特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕された(2002.01.24)。後の報道で、7回に渡ってレイプが行われていたことが明らかとなった。
交通違反の女性を取調室でレイプ
神奈川県警藤沢北署の巡査長が、交通違反の女性(18)に覚せい剤を提供し、それをネタに「逮捕する」と取調室に何度も呼び出し、3年間に10回以上のレイプを繰り返したとして、損害賠償請求を提訴された。(1999.9.21)
女子中学生にいたずら
大阪府警第4機動警ら隊の警察官が、補導した女子中学生にパトカー内でいたずらをした。(1993)
交通違反で全裸に
長野南署の複数の警察官が、無免許運転の女性を全裸で身体検査し、強制的に採尿したとして、国家賠償の申立てを受けた。(1988.02)
監獄レイプ
三島警察署の夜間当直看守が女性被収容者を強姦した。(1988)
交番のおまわりさんが女子大生を強姦殺人
警視庁北沢警察署の松山純弘巡査が、巡回連絡を装い、好意を寄せていた当時22歳の女子大生宅を強姦目的に訪問したが、抵抗されたため、首を絞めて殺害した。松山巡査は、第一発見者を装ったが、パンツに女性の血液が付着していたことなどから犯行を自供した。(1988)

時代錯誤の警察理念

警察官の性犯罪はさておき、明治時代に創設されて以来、一貫して警察幹部が組織イメージとして描いているのは「強い警察」である。わかりやすく言えば、時代劇で桜吹雪の刺青や印籠を見せつけ、下々に「へへっ」と頭を垂れさせるようなものだ。このように下々をひれふさせるためには、実質的手法と表面的手法がある。

<実質的手法>

ニッポンの警察は、行政警察においても完璧な刑罰主義である。軽微な交通違反であっても、警察官は極めて事務的に罰を科している。法改正があると、見せしめ検挙を行い、取り締まりの警察官に課されているノルマ制度(努力目標考課制度)は断固として秘匿し、「違反は違反だ!」と高圧的な取締りを行っている。警官に捕まった平民に対抗する術はない

こうした刑罰主義によって、警察は“権威”を手に入れた。一方、普通の市民は、何も悪いことをしていなくても、なぜか警官を見るとビクつくようになった。これは「警察に対抗できない平民の反射」である。

<表面的手法>

警官に拳銃を持たせたのはGHQであるが、それは戦後の混乱に対応するためであった。これを全警察官に携帯させたのは内務省である。以後、平和な時代の田舎の駐在所でさえ武装警官が置かれたのである。しかし、持ってるだけで撃てないことが周知される近代になってから、警察官はより現実的な武器をチラつかせることが多くなったようだ。

警察が“権威”を手にいれる過程において、信頼されている時代があった。しかし、それは他国に比較して治安のよかった現状に便乗したに過ぎない。世間の注目を浴びる大事件に対しては、前時代的な手法で自白を引き出し、それらを有罪にしてきただけだ。そうして、被害者とそれに同情する大多数になぐさみをもたらし、“警察権威”を確立したのである。しかし、その反面では多くの冤罪(えんざい)を生み出している。

 「強い警察」が理念となっているニッポンでは、警察官の「逮捕するぞ!」という言葉は圧倒的な威圧効果を持っている。
 いい替えると、普通の市民が警察には無抵抗であることを、警官は常に感じているのである。
 これが職権乱用のモチベーションとなり得ることは、書くまでもないだろう。

取調べで暴行陵虐
取調べで暴行陵虐(2011.02)
大阪府警東署の高橋和也警部補の取調べの様子。取調べを受けた男性は特別公務員暴行陵虐罪で処罰されるべきだと付審判請求を行った。

形式的な刑事裁判

このように、ニッポンの警察官は、密室で強引に自白を引き出す取調べを当然のように行っている。検察は、派手な事件を除けば、基本的に警察の捜査結果を追認するだけだ。また、世間知らずの裁判官は、汚れ役をはたした警察・検察の捜査を壇上から支持するだけである。つまり、裁判所がしていることは、ニッポンが法治国家の体をなすための「空疎な儀式」に過ぎない。そして、現実に犯罪を特定しているのは警察だ。

グローバルな視点からみると問題だらけの刑事司法なのに、これらがニッポン国内で一般的な問題として受け入れられたことはない。

警察に疑われて逮捕されたら、それをもってマスコミは「犯人らしき人物が逮捕された(めでたしめでたし)」的な報道を行う。これらの報道によって、警察に疑われた人はタテマエ社会から抹殺される。

ところで、沖縄の米兵によるレイプ事件がしばしば起きているが、いつもニッポン警察は米兵を逮捕することはできない。これは、専属的裁判権(日米地位協定上の規定)から発生する問題なのであるが、常に裁判権を得るのはアメリカだ。アメリカはニッポンの刑事司法制度を信用していないから、今後もニッポンで米兵が裁かれることはないだろう。

外務省がいくらカネをバラまいても、国の代表者(内閣総理大臣:行政の長)がどれだけアメリカの言う通り働いても、ニッポンが国連の常任理事国になれないのは、法治国家の根幹をなす司法制度が、あまりにも時代に遅れているからなのだろう。

再現映像
沖縄県民総決起大会(1995.12.21)
1995年9月に起きた米兵の少女暴行事件を発端に、日米地位協定の見直しなどを求めて開かれた沖縄県民総決起大会。(シネマ沖縄 on YouTube)

なんで警察官だと刑が軽いのか?

さて、菊屋橋分室での「代用監獄レイプ事件」は、強姦ではなく、特別公務員暴行陵虐(ぼうこうりょうぎゃく)罪を罪状として起訴された。特別公務員暴行陵虐とは、なんとももの凄い重罪のようだが、ほかの罪状と比較してみると、たいした罪ではないことが分かる。

罪状 6ヶ月 1年 3年 5年 6年 7年 10年 黒色:懲役
青色:懲役または禁固
強制わいせつ  
強姦    
強盗強姦    
特別公務員暴行陵虐    
自殺教唆    
業務上過失致死傷等 または罰金50万円以下  
受託収賄    

つまり警官は、非番にレイプするよりも、公務中にレイプしたほうが罪がはるかに軽くなるわけだ。

さらに、以前よりマシになったとはいえ、警察には不祥事隠しの慣習がある。万が一バレても、組織が隠蔽するかもしれないし、起訴されても、特別公務員暴行陵虐罪という、一般人よりずっと軽微な罪しか問われないのである。

このように、警察官が性の欲望に歯止めを掛けられなくなっているのは、組織と制度に問題があるからだ。

氷山の一角
報道される性犯罪は「氷山の一角」といわれる。公にならない、またはそもそも事件として処理されない性犯罪は、報道される性犯罪の数倍になるのが常だ。ということは、警官の性犯罪も報道の数倍発生していることになる。
さらに警察には、不祥事を隠そうとする体質があるので、さらに倍率は高くなるはずだ。
なのに、謝罪する警察幹部の口上は、いつも同じ。
「警察官としてあるまじき事件であり、誠に遺憾だ」
極めてまれなケースであるような言い草はいい加減にしてほしいものだ。
 

警察本願な人たち

警察官の性犯罪はさておき、ニッポンの刑事裁判は「絶望的」だと言われてきたのは、裁判が「空疎な儀式」になりさがっているからである。裏を反せば、警察(派手な事件の場合は検察を含む)の捜査がすべてを決めてきたわけであり、裁判所は捜査機関のしたことを追認する場所にすぎない。

裁かれる者たちにとっての「空疎な儀式」は、捜査機関の描いたシナリオ(冒頭陳述)を認め、法の権威にひれ伏し、そして裁判官の寛大なる取り計らいで8割裁定を得る場所と化している。

しかし現実には、捜査手法と刑事訴訟プロセスが一般的な問題となったことはなく、逆に「犯罪者は殺せ」的な風潮が目立つのが、ニッポンの恐ろしいところだ。このような「犯罪者は殺せ」「もっと厳しく」と叫ぶ“警察本願”な人々を作り出したのは、テレビを代表とするマスメディアである。

犯罪捜査とその報道

そして今日も、テレビドラマでは警官や刑事がわが身を捨てて活躍する姿が描かれ、ワイドショーでは街に出現した小動物を捕獲したやさしい警察官の美談が語られ、そして警察特番では正義の警察官が踊っている。