警察官の犯罪は追及されているか?


軽微違反の取り締まり
取調べ中にレイプ

警察は、それが軽微な違反であったとしても極めて事務的に罰を課している。
ところで、身内の犯罪もちゃんと処理しているのだろうか?

時代おくれの刑事司法

代用監獄レイプ事件 -拘置中の女性と性的関係-
今井容疑者は6月8日午後、東京都台東区西浅草1の同庁留置管理課菊屋橋分室内の取調室で、女性にわいせつな行為をし、同10日午後には取調室で性的関係を持った疑い。今井容疑者は「大変申し訳ない」と容疑を認めている。
  女性は4月中旬、覚せい剤取締法違反(所持)容疑などで逮捕され、拘置中だった。今井容疑者は逮捕以降、二十数回、女性を取り調べていた。女性は「逆らえなかった」と話しているという。
朝日・読売・毎日・産経・東京新聞は、同程度の情報量でロンドンテロの報道日に報じた。

興味本位に見られがちなこの事件は、ニッポンの刑事司法制度における根本的な問題を映している。

時代遅れの刑事司法 その1 -密室での取調べ-

ニッポンでは、代用監獄に容疑者を拘禁し、警察の物理的・心理的支配下においたうえで、外部との連絡を遮断し、長時間の取調べで心理的孤立状態をつくりだして自白を迫る(朝日新聞社会部編「代用監獄」)、という手法が当然のように行われている。しかし、諸外国にくらべると、どうやらニッポンの刑事司法制度はずいぶんと時代おくれのようだ。

  諸外国または国際人権条約の基準 ニッポン
逮捕後の取調べの弁護人立合い 認められている 認められていない
逮捕後の拘束期間 72時間(米国の場合) 552時間(23日間)
→別件再逮捕によりその数倍が可能
捜査と収監 分離されている 分離されていない(代用監獄システム)
取調べの時間 規定されている 事実上無制限
起訴前の保釈 認められている 認められていない
起訴前の国選弁護制度 起訴前の国選弁護制度がある 起訴前の国選弁護制度はない

諸外国では、捜査と収監の分離が徹底しており、弁護人の立会いも実施されている。さらに、取調べの録画・録音も認められている。このような他国のシステムは、捜査機関の暴走を防ぐためである。

  アメリカ
イギリス フランス イタリア 台湾 香港 韓国 ニッポン
弁護士立会い
×
録画・録音 × ×

このように他国と比較すれば、日本の刑事司法には、捜査の誤作動防止システムがないに等しいことが明らかとなる。こうしたニッポンの現状に対し、国連の人権規約委員会は、1980年台後半から、問題を提起している。

国連の人権規約委員会の勧告
刑事裁判における有罪判決の多くが自白に基づく事実に深く懸念を有する。
自白強要を排除するために、取調べが厳格に監視され、録画・録音されることを勧告する。(→外務省訳はこちら

対する法務省は、勧告を拒否し、次のような拒否理由をあげている。

  • 取調べが録画・録音されると被疑者は真実を話さない
  • 録画・録音に莫大な費用と手間がかかる。

時代遅れの刑事司法 その2 -供述調書の写しも拒絶-

ニッポンの刑事司法は、逮捕後の密室取調べを正当化するだけでなく、任意の取調べにおいても時代おくれである。
書類主義のニッポンにおいて、警察官の書く供述調書は法的処分の重要な材料となる。しかしながら、この供述調書のコピーを被疑者が求めても、警察・検察は決してその写しを渡そうとはしない。共通する拒否理由は、刑事訴訟法第47条である。

刑事訴訟法第47条
訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

しかしながら、「公にする」とは、不特定多数を対象にした文言である。それゆえ、当事者自身の供述をまとめた文書を当事者本人に渡すことを「公にする」と解釈することは、拡大解釈であるといわざるを得ないのである。

このような捜査機関の秘匿主義は、捜査書類の偽造を蔓延させているようだ。兵庫県警の捜査書類ねつ造事件を参考にして、捜査のあり方がこのままでよいのかどうかを考えてみよう(→兵庫新聞特集 兵庫県警 捜査書類ねつ造)。なお、この事件は、取締りのノルマを警察が公式に認めた初めてのケースである。

時代遅れの刑事司法 その3 -法の下の不平等-

レイプ事件のあった菊屋橋分室が建て変えられるずっと前に、当時24歳の女性に対する陵虐行為が、この女性の公判文書に綴られている。

被告人は、本件逮捕直後、菊屋橋分室において、衣服を全て剥ぎ取られ、男性警官を含む警察官らが見守る中、全裸状態で鏡をまたぎ、腰を上下する動作を強要された。

身体捜索令状により、肛門や膣内に指を入れる方法による身体捜索が行われた。

取調べ途中に、被告人が手洗いに行くときには、男性の取調べ担当警察官が腰縄を持って付き添い、被告人が用を足している間トイレのドアを開けたまま腰縄の一方を持ってドアの外に待機し、ときには、用を足す被告人を覗き込んで、「生理でもないのに、なんで、あんた、ナプキンを使うんだ」とくちばしを挟み、また、被告人の生理が止まっているのを知ると、取調べの中で男性取調官が、「妊娠しているんじゃないか」「夫とどういう性関係だったんだ」としつこく聞くなど、性的嫌がらせ、性的虐待としか言いようのない拷問的処遇が続いた

終戦から数十年を経てもなお、このような非人道的な取調べが行われていることは、1980年代後半に国際人権連盟(FIDH)とアムネスティ・インターナショナルの知るところとなった。そして、ニッポンの刑事司法の現状調査が行われ、報告書がまとめられている。そのひとつ「パーカー・ジョデル報告書」は、広範な肉体的・心理的拷問が行われていること、権限乱用のもとで入手した自白が利用されていることを強く批判している。

また、1998年、国連人権委員会は、ニッポンが性犯罪について寛容であることを次のように指摘した。

国連人権委員会の指摘
委員会は、女性に対する暴力、特に家庭内暴力及び強姦、の高い発生率及びこの慣行の根絶のための改善措置の不存在について引き続き厳に懸念を有する。委員会は、日本の裁判所が、性交の強要を含む家庭内暴力が結婚生活の通常の範囲と考えているように思われることについて困惑している。

そのほか国連人権委員会は、ニッポンの司法当局の公務員に対し、人権についての教育をすることも勧告したているが、どうやらニッポンには全くその気がないようだ。


取調べの警官による
わいせつ事件
釈放の取引き?
警視庁四谷署組織犯罪対策課の警部補(52)が、取調べを担当した20代の女性が釈放された後、この女性を誘い、一緒に居酒屋で食後し、ホテルに宿泊したとして減給3ヶ月の処分を受けた。(2005.9.3)
肉体の取調べ
滋賀県大津署刑事課の巡査部長が窃盗容疑で拘置中の女性を調べ中にわいせつ行為をした疑いで逮捕された。(2005.09)
取調べで乳をもむ
大阪府警東住吉署刑事課の警部補(49)が、取り調べ中の女性容疑者(23)の胸をもんだりしたとして逮捕された。(2005.07.28)
取調室でレイプ
神奈川県警藤沢北署の巡査長が、交通違反の女性(18)に覚せい剤を提供し、それをネタに「逮捕する」と取調室に何度も呼び出し、3年間に10回以上のレイプを繰り返したとして、損害賠償請求を提訴された。(1999.9.21)
交通違反で全裸に
長野南署の複数の警察官が、無免許運転の女性を全裸で身体検査し、強制的に採尿したとして、国家賠償の申立てを受けた。(1988.02)
女子中学生にいたずら
大阪府警第4機動警ら隊の警察官が、補導した女子中学生にパトカー内でいたずらをした。(1993)
監獄レイプ
三島警察署の夜間当直看守が女性被収容者を強姦した。(1988)



そのほか警官による最近のわいせつ事件
小学生をレイプ
小学生の女児をレイプしたとして、兵庫県警甲子園署地域課の巡査長が起訴された。(2005.08)
胸をわしづかみ
兵庫県警捜査3課の巡査部長が、深夜に帰宅中の女性の胸をわしづかみし、逃走したが、知人の男性に取り押さられた。(2005.08.04)
盗撮
神奈川県警公安3課の警部補(43)が他人のカーセックスをビデオカメラで盗撮し、処分を受け、依願退職していたことが発覚した。(2005.07.02)
盗撮
神奈川県警第1機動隊の巡査長(27)が電車内や駅などで12人を盗撮し、処分を受け、依願退職していたことが発覚した。(2005.07.02)
盗撮
神奈川県鶴見署の巡査部長(31)がJR戸塚駅で女子高生(18)の後ろからカメラ付き携帯で盗撮したところ、その女子高生に取り押さえられた、交番に引き渡されていたことが発覚した。(2005.06.25)
盗撮
神奈川県警横須賀署の巡査長(36)が、横浜駅のエスカレーター無職の女性(20)をカメラ付き携帯で盗撮したところを鉄道警察隊に取り押さえられていたことが発覚した。(2005.06.25)
盗撮
神奈川県警中原署の巡査長が、武蔵小杉駅で女子高生のスカートの中をカメラ付き携帯で盗撮しようとして鉄道警察隊員に取り押さえられたことが発覚した。(2005.06.22)
複数の強制わいせつ
熊本県警熊本北署生活安全課の巡査が、帰宅中の女子大生(20)に後ろからバイクで近づき、胸を触ったなどとして逮捕された。(2004.06.22)
女児連れ去り
3件の女児連れ去り事件で逮捕された熊本県警大牟田署巡査(24)が、採用前にも同様の事件を起こしていたとしての再逮捕(4度目)された。(2004.06.04)
強姦未遂
北海道警察江別署地域課の警部補が知人女性を強姦未遂で逮捕された。(2005.05.24)
諸外国の警官によるレイプ事件
ニュージーランド
(警官による輪姦)
APN Holdings NZ
THE AGE
Peter Ellis

インド
Dancewithshadows
India Together

スコットランド
BBC NEWS
SCOTSMAN.COM

他国の報道機関は、警官による犯罪を追及しようとする姿勢が感じられる。一方、ニッポンのマスコミは、警官の犯罪を報道することに対し、極めて消極的だ。これは、記者クラブを通じた、警察とマスコミの馴れ合い関係によるものだろう。

ニッポン刑事司法の論点

このように、ニッポンの警察官は、密室で強引に自白を引き出す取調べを当然のように行っている。検察は、派手な事件を除けば、基本的に警察の捜査結果を追認するだけだ。また、世間知らずの裁判官は、汚れ役をはたした警察・検察の捜査を壇上から支持するだけである。つまり、裁判所がしていることは、ニッポンが法治国家の体をなすための「空疎な儀式」に過ぎない。そして、現実に犯罪を特定しているのは警察だ。

グローバルな視点からみると問題だらけの刑事司法なのに、これらがニッポン国内で一般的な問題として受け入れられたことはない。

警察に疑われて逮捕されたら、それをもってマスコミは「犯人らしき人物が逮捕された(めでたしめでたし)」的な報道を行う。これらの報道によって、警察に疑われた人はタテマエ社会から抹殺される。

ところで、沖縄の米兵によるレイプ事件がしばしば起きているが、いつもニッポン警察は米兵を逮捕することはできない。これは、専属的裁判権(日米地位協定上の規定)から発生する問題なのであるが、常に裁判権を得るのはアメリカだ。アメリカはニッポンの刑事司法制度を信用していないから、今後もニッポンで米兵が裁かれることはないだろう。

外務省がいくらカネをバラまいても、小泉首相がどれだけアメリカの言う通り働いても、ニッポンが国連の常任理事国になれないのは、法治国家の根幹をなす司法制度が、あまりにも時代に遅れているからなのだろう。

 「強い警察」が理念となっているニッポンでは、警察官の「逮捕するぞ」という言葉は圧倒的な威圧効果を持っている。
 いい替えると、普通の市民が警察には無抵抗であることを、警官は常に感じているのである。
 これが職権乱用のモチベーションとなり得ることは、書くまでもないだろう。

警杖(けいじょう)
写真の警察官が持っているのは木製の警杖。警杖は、警棒と同様に制圧目的の武器である。目立つので威圧効果も期待できる。しかし、現場の警官は、「これは指示用だ」とゆずらない。

武装強化で権威回復
2005年9月、警察庁は増加する公務執行妨害に対処するため、強度を高めた警棒や警杖を導入することを決めた(goo)。
「制服」による威圧効果が薄れ、現場の警察官が襲われるケースも増えているとのこと。
  ちなみに神奈川県警では、立ち番では警杖を持つように指示されているそうだ。
 しかし、武器を持ち出す前に、まず警察が信頼されていない現実と向き合い、その要因を考えるべきだろう。

時代錯誤の警察理念

明治時代に創設されて以来、一貫して警察幹部が組織イメージとして描いているのは「強い警察」である。わかりやすく言えば、時代劇で桜吹雪の刺青や印籠を見せつけられた下々が「へへっ」と頭を垂れるようなものだ。このように下々をひれふされるためには、実質的手法と表面的手法がある。

<実質的手法>

ニッポンの警察は、行政警察においても完璧な刑罰主義である。軽微な交通違反であっても、警察官は極めて事務的に罰を科している。法改正があると、見せしめ検挙を行い、取り締まりの警察官に課されているノルマ制度(努力目標考課制度)は断固として秘匿し、「違反は違反だ!」と高圧的な取締りを行っている。警官に捕まった平民に対抗する術はない

こうした刑罰主義によって、警察は“権威”を手に入れた。一方、普通の市民は、何も悪いことをしていなくても、なぜか警官を見るとビクつくようになった。これは「警察に対抗できない平民の反射」である。

<表面的手法>

警官に拳銃を持たせたのはGHQであるが、それは戦後の混乱に対応するためであった。これを全警察官に携帯させたのは内務省である。以後、平和な時代の田舎の駐在所でさえ武装警官が置かれたのである。しかし、持ってるだけで撃てないことが周知される近代になってから、警察官はより現実的な武器をチラつかせることが多くなったようだ。

このようにして、警察は“権威”を手にいれた、その過程において、警察が信頼されている時代があったが、それは他国に比較して治安のよかった現状に便乗したに過ぎない。世間の注目を浴びる大事件に対しては、前時代的な手法で自白を引き出し、それらを有罪にしてきただけだ。そうして、被害者とそれに同情する大多数になぐさみをもたらし、“警察権威”を確立したのである。しかし、その反面では多くの冤罪(えんざい)を生み出している。

警察の捜査を追認する裁判所

ニッポンの刑事裁判は「絶望的」だと頻繁に言われ続けてきたのは、裁判が「空疎な儀式」になりさがっているからである。裏を反せば、警察(派手な事件の場合は検察を含む)の捜査がすべてを決めてきたわけであり、ニッポンの刑事司法システムへの警鐘である。

しかし現実には、捜査手法が一般的な問題となったことはなく、逆に「犯罪者は殺せ」的な風潮が目立つのが、ニッポンの恐ろしいところだ。このような「犯罪者は殺せ」「もっと厳しく」と叫ぶ“警察本願”な人々を作り出したのは、テレビを代表とするマスメディアである。

そして今日も、テレビドラマでは正義のために活躍する警察官や刑事が活躍し、ワイドショーでは逃げた動物を捕獲した勇敢でやさしい警察官の美談が語られ、そして警察特番では正義の警察官が踊っている。

代用監獄レイプ事件の報道
■事件の発生: 6月8,10日
■発覚日:未公表
■逮捕日:7月8日(初報道)
今井警部補が逮捕された
■処分日:8月28日(報道2回目)
警官が懲戒免職になった
■初公判:9月20日(報道3回目)
特別公務員暴行陵虐罪だけを罪状とした初公判が開かれた。
ちなみに、初公判の一つ前のウィークデーにあたる9月16日、筆者が警視庁に電話したところ、容疑者が起訴されたどうかさえも含めて「一切教えられない」の一点張りであった。(→音声記録
■公判2回目予定
10月4日3:50pm533法廷

このページでの参考資料/
デイビッド・T・ジョンソン「アメリカ人のみた日本の検察制度」
朝日新聞社会部「代用監獄」
テレビ朝日「ザ・スクープ
ミランダの会

なんで警察官だと刑が軽いのか?

まるで、公務中のレイプは罪が軽くなるかのようである。

とにかく、この事件は報道の発表時期とその内容があまりにも不自然だ。マスメディアがちゃんと報道すれば、ニッポン刑事司法の根幹を揺るがしかねない事件であるだけに、その報道の不自然さが際立っている。警察が記者クラブを最大限に利用して、報道をコントロールしているとしか思えないのである。

よって、本サイトでは今後可能な限りこの事件の経緯を追求してみたい。

罪状 6ヶ月 1年 3年 5年 6年 7年 10年 黒色:懲役
青色:懲役または禁固
強制わいせつ              
強姦            
強盗強姦              
特別公務員暴行陵虐              
自殺教唆              
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