[471] 現実を無視した空論
投稿者名: 今井亮一 (ホームページ)
投稿日時: 2001年3月30日 02時18分
★ そうすると、あなたの独自の計算式では、 生産年齢にある人が交通違反で取締りを受け(年間約1300万件)、 半数が裁判まで持ち込んだと仮定して、 算出される経済損失は、年間10億〜100億円となり、 車の値段は最大で400万〜500万円アップする勘定。 となるわけですね。なぜクルマの値段がそんなにアップするのか、私には謎ですが。
★ まずは、計算式に入れるものがそもそも間違っていることを指摘しておきます。
1、FAQ「だいたいの流れ」の最初の項にあるように、約1300万件のうち約400万件は刑事手続きの扱いとはなりません。 2、赤キップの違反(残り900万件のうち約100万件)も、略式に応じなければ出頭の回数が増えることになります。 3、以前警視庁に尋ねたところによると、反則金を仮納付する人は8割くらい、残り2割くらいのうち通告センターへ出頭する人は2%くらいだそうです。
★ さて、私はこう言いました。 「裁判まで持ち込む」について、いったいあなたは具体的にどういうことを想定しているのか、そこがはっきりしないと、机上の空論、いや机上にさえ乗らない空論になってしまう余地がある、と。
机上にさえ乗らない空論とは、どういうことか。 あなたは、「裁判まで持ち込んだと仮定して」と言っていますね。 取り締まりを受けた人の「半数」(あなたによれば年間約650万人ですか)が「裁判まで持ち込」むことができるかのような言い様です。 しかし、いいですか、運転者がいくら「裁判まで持ち込みたい」と思っても、「裁判まで」行けないのですよ。
裁判にかける(起訴する。公訴を提起する)権限は検察官が握っているのです。 交通違反の起訴の件数は、FAQ「だいたいの流れ」にあるとおり、年間約1万件です。 検察官、裁判官の数は限られています。とくに裁判官の数を増やさなければならないと、昨今の司法改革論議でさかんに言われていますね。 起訴件数を2倍、3倍に増やすことなど、現実には不可能なのです。 したがって、年間650万人であれ400万人、450万人であれ、そのような膨大な数の運転者が「裁判まで持ち込」むことは、空論もいいところなのです。
★ けれど……あなたは「言葉はどうでもいい」としきりに言っています。 「裁判まで持ち込」むと表現されているけれど、じつはこの人の頭の中にあるのは、言葉で表現されたこととはまるで違うのではないか……。そう想像して、具体的な中身を私はお尋ねしたのです。
すると、やはり、まるで違うことだったのですね。 すなわち、「裁判まで持ち込」めずに不起訴となるケースも含んでいたのですね。
いや、含んでいた、というのは適当ではないでしょう。 不起訴となるケースは、起訴(公判請求。つまり正式な裁判まで進むこと)の5倍以上もあるのです。 しかも、起訴されるのは飲酒や無免許の常習などかなり悪質とされるケースがほとんどです。軽微な違反についてはほぼ100%不起訴とされているのが現状です。
★ では、「裁判まで持ち込む」という表現に問題があったにすぎず、あなたはただ、反則金を納付せずに不服を主張すると出頭の回数が増える、ということを言いたかったのだとしましょう。
だとしても、あなたの試算は空論となります。 理由は簡単。 年間650万だとか400万、450万だとかいう数の事件について、警察が通告および送検のための書類づくりをすることも、検察が受理、捜査、起訴・不起訴の判断(決済)をすることも、まったく不可能だからです。 取り締まりも違反処理システムも、ほとんどすべての運転者が唯々諾々とカネを払うことを前提に成り立っているのです。
★ 年間100万の単位の人が、反則金を納付せず(また略式に応じず)、 「こういう取り締まりはおかしいんじゃないか」 「これこれの事情があったので酌んでほしい」 「じつは俺は無実だ」 等々と言い出したら、これはもう空前絶後の大混乱となり、大きな社会問題になるでしょう。
マスコミも国会も放っておくはずがありません。 「取り締まりって、いったいナンなんだ」 「そもそもこんな規制でいいのか」 「これで事故が減るのか」 「裏で誰か大儲けしてるヤツがいるんじゃないか」 と当然、大きな騒ぎになるでしょう。
そこを捨象して、「仮定」だの「経済損失」だの言うのは、まったくの空論にすぎません。
あなたとしては、争うことは損だ、負担だ、と言いたくて、その見解を強調したくて、ついそんな「試算」をしてしまったのでしょうか。 争うことは損だ、負担だというあなたの見解(損得勘定)について、ツリーを改めて述べることにします。 |
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