平成13年(ワ)第15800号 損害賠償請求事件

原告 野村一也

被告 今*亮* 外2名

答 弁 書

2001年(平成13年)9月5日

東京地方裁判所民事第18部ろB係 御中 

〒102-0085

東京都千代田区*********

***********

光*法律事務所(送達場所)

電話03−5276−****

FAX03−5276−****

被告今*亮*,同平*泰*および同*谷*之訴訟代理人

弁護士 山*幸*

第1 請求の趣旨に対する答弁

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

 

第2 請求の原因に対する答弁

事実関係を調査の上,追って答弁する。

 

第3 被告らの主張

 インターネットのBBSに書き込まれた発言が人の名誉を毀損するか否かを判断するに当たっては,問題の発言がなされた前後の文脈等に照らして,発言内容が不特定多数の第三者に理解可能か否か,当該発言内容が真実と受け取られるおそれがあるか否かを基礎とする必要がある。

 加えて,言論による侵害に対しては,言論で対抗するというのが表現の自由(憲法第21条1項)の基本原則であるから,このような場合にも,一部の表現を殊更取り出して表現者に対して不法行為責任を認めることは,表現の自由を萎縮させるおそれがあり,相当ではない。


 本件各発言がなされたというBBSは,誰でも自由に発言することが可能であるから,被害者が加害者に対し,必要かつ十分な反論をすることが容易な媒体であると認められる。したがって,被害者の反論が十分な効果を挙げているとみられるような場合は,社会的評価が低下する危険性が認められず,名誉毀損は成立しないと解するのが相当である。

 また,被害者が,加害者に対し相当性を欠く発言をし,それに誘発される形で,加害者が,被害者に対し,問題となるような発言をした場合には,そお発言が,対抗言論として許された範囲のものとして認められる限り,違法性を欠き,不法行為は成立しない。


 以上の観点からすれば,原告は,本件の各BBSにおいて,被告今*亮*(以下,被告今*という。)に対する事実無根ないし論旨不可解な誹謗中傷というべき投稿を「裁判ゲーム」,「模擬的陪審制裁判」などと称して続けた。被告今*および被告平*(以下「被告平*」という。)はこれに対する反論としてBBSに投稿しており,それは原告の投稿内容に対する公正な論評である。また,原告は多数の投稿をもって反論している。

したがって,被告今*およびび同平*には,原告に対する名誉毀損の不法行為は成立しない。

また,そうである以上,被告*谷*之につき,損害の発生・拡大を防止すべき義務の懈怠・違反はありえない。


4

 よって,原告の被告らに対する本件請求は速やかに棄却されるべきである。

 

以上