ニュートラル・ポジション


2000.06.27

ITSの大義名文について

ITSを代表するお役所の外郭団体として筆頭のVERTIS(道路・交通。車両インテリジェント化推進評議会)は、これから30年後のITS社会の目標イメージを次のように設定している。

  1. 現状の交通死亡事故の半減
  2. 交通渋滞の解消
  3. 環境改善のために自動車の燃料消費量二酸化炭素をそれぞれ約15%削減し、都市部の窒素酸化物を約30%削減する。

2.の交通渋滞の解消は、具体的な数値を示していないので全く説得力がない。3.については、世界的な環境問題に対する自動車への規制の動きを考えれば、30年も先のことを、目標とすること自体が詐欺に等しい。それでは、1.の現状の交通死亡事故の半減についてはどうだろう?

現在、子育てに不都合が多い日本では、少子化の傾向は進む一方だ。少子化対策はないに等しい。こうして2000年から2030年にかけて生産年齢人口は8641.3万人から6946.9万人への減少が試算されている。とうぜん免許人口も減り、事故も減少する。さらに、30年という歳月は、ガソリンエンジンから次世代エンジン(ハイブリッドやバッテリーカー)へのシフトも進むはずだ。とうぜん自動車の安全対策も向上する。つまり、ITSに投資をしなくても、交通死者数が減少する要因はたくさんあるのだ。

年次 総 人 口 (1000人) 年齢3区分別構成比 (%)
総数 年少人口 生産年齢人口 老年人口
(0〜14歳) (15〜64歳) (65歳以上)
2000年 126,892 62,121 64,771 14.7 68.1 17.2
2010年 127,623 62,272 65,351 14.3 63.6 22.0
2020年 124,133 60,300 63,833 13.7 59.5 26.9
2030年 117,149 56,694 60,455 12.7 59.3 28.0
2040年 108, 964 52,680 56,284 12.9 56.1 31.0
2050年 100,496 48,617 51,879 13.1 54.6 32.3

推進派はSF映画のような未来世界をITSに描いているが、沈没する日本の最大で最後の無駄な公共事業になるのかもしれない。