ニュートラル・ポジション


交通安全のスポンサー


 ニッポンのお役所は、それぞれが所管する業界を牛耳るためのシステムを着々と積み上げてきた。 そして、業界に儲けさせて、そこに発生する甘い汁を吸っている。 こうした官と業との癒着によって、業界の利益ばかりが優先され、そして生活者の利益などどうでもよくなるのである。

 お役所が所管する業界の“違反”は〇×業協会に天下った役人の裁量で治まるようにし、 それでも問題が収まらないときには、お役人が業務停止命令などの行政罰を与えて幕引きを図ろうとする。余程のことがない限り、 それぞれの役所が抱える業界の懲罰が裁判所に委ねられることはない。(参照ファイル→なぜ腐敗はなくならないか?

 なお、警察という役所は交通安全業界を所管しています。 道路標示・標識、交通管制システム(交通情報、信号、先進のITS)、 それから交通安全教育、運転免許などなど。

 さて、業界を潤わせる施策をも正当化するためには必ず大儀明文が持ち出されます。「公益」「環境」「福祉」、そして「安全」。こうした大儀明文のなかで、警察が持ち出す「安全」はセンセーショナリズムを利用することができます。“悲惨な死亡事故”をアピールすることによって、劇的な広報効果(事業の正当化)をもたらすのである。

 センセーショナリズムを利用した警察広報を受けての「警察よ、もっと厳しく取締ってくれ!」という意見は、とても多く感じられる。そこで、センセーショナルな実例を警察発表とは別の角度から考えてみよう。

首都高でトラック追突 一家4人死亡

13日正午過ぎ、東京都港区海岸三丁目の東京湾に架かる首都高速11号上り線のレインボーブリッ
ジ中央付近で、大型トラックが千葉県銚子市笠上町六九七九ノ一四、中学校教諭**さん(34)の
乗用車に追突した。弾みで計四台が玉突き衝突し、乗用車が押しつぶされて大破。**さんと妻
子の一家五人全員が頭がい骨骨折などで間もなく死亡した。

警視庁高速隊は業務上過失致傷の現行犯で、大型トラックの大阪府大東市扇町一三ノ三三、運転
手**容疑者(37)を逮捕。業務上過失致死容疑に切り替えて調べている。
死亡したのは、**さんのほか妻**さん(34)、長男で小学一年の**君(7ツ)、長女**ちゃん
(4ツ)、二男**ちゃん(2ツ)。

警視庁によると、首都高速道路で一度に五人が死亡した交通事故は初めて。
調べによると、**容疑者は、渋滞の最後尾にいた**さんの車に〓時速約五十`で追突し、計
四台が玉突き衝突。**さんの車は前後の大型トラックに挟まれた上、後ろのトラックに押しつ
ぶされた状態だった。

1998年02月14日佐賀新聞より

テレビで事故状況の映像を見たが、私の知る中では最も悲惨な交通事故だ。

 こうした大型トラックによる“悲惨な死亡事故”の多発を受けて、 国土交通省は、大型トラックにリミッター装着の義務化を打ち出した。

  一方、警察がトラックを対照とした規制/取締りの強化をすることはない。 警察がするのは、全体の規制強化(大きな網)と、乗用車やバイクをターゲットにした取締りの強化だ。

 なお、取締りの多くは各種の交通安全運動期間に行われている。 こうしたキャンペーンには、必ず全国または各地にちらばる無数のトラック協会がスポンサーになります。もちろん、これら全国に散らばるトラック協会には、多数の警察職員が天下っています。

“悲惨な事故”が減らない本当の原因は、こうした「癒着の構造」にあるのだろう。

 ご興味のあるかたは、 「奈良県警汚職事件」をキーワードとして検索してみてください。警察とトラック業界と蜜月関係の一端を垣間見ることができるはずだ。

 

平成15年春の交通安全運動

主催者

内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,都道府県,市区町村,自動車検査独立行政法人,日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,本州四国連絡橋公団,自動車安全運転センター,軽自動車検査協会,自動車事故対策センター,(財)全日本交通安全協会,(財)日本道路交通情報センター,(財)全国交通安全母の会連合会,(社)全日本指定自動車教習所協会連合会,(社)全国二輪車安全普及協会,(社)日本自動車連盟,(社)日本バス協会,(社)全日本トラック協会,(社)全国乗用自動車連合会,(社)全国ダンプカー協会

※現実の交通安全運動は完全な警察主導で行われている。(参照→交通安全協会のお仕事)

協賛団体(スポンサー)

残念ながら、ネット上に協賛団体が公示されることはなくなってしまった。なお平成15年春の交通安全運動の協賛団体は143と発表されている。平成9年秋の全国交通安全運動も同じ143団体であったので、ほとんど同じ団体がスポンサーとなっているのだろう。

※平成9年秋の全国交通安全運動のスポンサー一覧はこちら