ニュートラル・ポジション


官栄えて民滅ぶ


(会社のなかで)

会社のなかで、やる気を失わせるのは「不公平感」なのかもしれません。
「上司と反りが合わない」「尊敬できる上司がいない」といった代表的な退職理由は、昇進制度への不公平感を含んでいる場合が多く、
「もっと良い会社へ」という理由は、他社での評価基準と比較しての「不公平感」だといえます。
そして、「不公平感」が蔓延する会社では、自分本位な振る舞いが横行し、会社全体としての活力も失われていきます。

(社会のなかで)
さて、経済にはまったく元気がありませんが、経済だけでなく、民間企業で働くサラリーマンの元気のなさは痛々しいほどだ。元気のなさの原因は、賃下げやリストラへの不安がメインでしょう。そうした元気のないサラリーマンたちは、公務員に不公平感を持っています。しかし、与えられた環境に文句をいわずにベストを尽くすことが求められるサラリーマンは、飲みながら愚痴ることはあっても、不公平感を露わにすることはありません。

(ノーリスク・ハイリターン)
追い討ちをかけるよう不況の悪化は、“官高民低”の賃金格差を広げ、「不公平感」をさらに増幅させています。リスクのまったくない公務員が、リスクをしょって働く民間よりも高い現実を例えるなら、定期預金(公務員)のほうが、株式ファンド(民間)よりも利率(定期は確定、株式は予想)が高いようなものだ。定期より利率が低くてリスクの高い株式ファンドしか使えない人々が、「不公平感」を持つのは当然だといえる。さらに、構造改革がもたらす「痛み」にも、「不公平感」がつきまとっています。

(激痛を受けるサラリーマン、痛みとは無縁の公務員)
今後のさらなる「痛み」に耐える前に、現在の「痛み具合」を公務員とサラリーマンで比較してみよう

サラリーマン 公 務 員
雇用不安 すでに1998年の時点で“未曾有”といわれた雇用情勢は、底なしの悪化が続いた。今後も、さらなる失業率の低下が予想されている。 定年まで雇用は保障されるから雇用不安とは無縁。 また天下りによって退職金の2重取り(3重取り以上もある)もある。 さらに、60歳以後の雇用も事実上保障されているケースも少なくない。
賃下げ 平成不況により平均賃金は急激に低下した。今後、労使間でのサラリーマンの立場はさらに弱くなり、一層の賃下げが予想される。 国や自治体の赤字は、公務員の給料にあまり反映されない。 (財政赤字でも、一般職の収入に大きな変化はない)
年 金 政府管掌の厚生年金も、そのベースとなっている国民年金も、ともに破綻する可能性がある。 年金は独自の制度(共済)なので、基礎年金(国民年金)が破綻しても、影響は少ない。
住 宅 民間のアパート・マンションでは、礼金、更新料といった不動産業界の因習による費用負担が生じる。 公宅が整備されており、民間の賃貸アパート・マンションを借りる必要がない。また、購入時には、共済で低利の住宅ローンが使える。
給与システム 年功評価は、ほとんどすべての企業で消極化した。 年功序列をベースに、長く努めるほどたくさんの給与がもらえるシステム。また残業手当をはじめ、さまざまな手当てが存在する。


もし、公務員が“民間賃金準拠”(1982年の基本答申)であるなら、賞与と退職金はもちろんさまざまな手当てを含めて大幅な減額をしなければ、不公平感はなくならないだろう。しかし、こうした“時流の要求”が、現実となることはないはずだ。なぜなら、給料を減らされることに対しては、誰だってあらん限りの抵抗をするものなのだ。それ以前に、集票マシーンとなっている公務員の不利益が、政治の舞台に持ち上がるとも思えない。

(減らない公務員の不祥事)
しかし、こうした「不公平感」を放っておいてよいのだろうか?
今後、不況はさらに深刻化し、庶民の「痛み」は増すことはあっても減ることはない。一方、不況を他人事としか感じることのできない公務員の不祥事は、まだまだ報道されるはずだ。そして、出口の見えない不況でも抑え続けたやり場のない不公平感が、強烈な社会不信となって出口を求めるかもしれない。

(不公平感をなくために)
不公平感を減らし、そんな事態を避けるために、ふたつの公務員改革を考えてみた。

1.公宅の廃止(独身社宅用以外)

効能1:財政赤字の解消
赤字を抱えた民間企業では、まず最初に社宅が処分される。
財政赤字を、増税に頼らずになんとかする気があるのなら、当然の処置だろう。

効能2:経済(住宅市場)の活性化
不況に左右されずに住宅を購入できるのは、公務員しかいない。
(景気対策には、いつも変わらず住宅市場が刺激されてきた)

2.共済制度の廃止

効能1:財政赤字の解消

効能2:老後不安への危機感を共有し、よりよい年金政策をともに考える。

“官栄えて民滅ぶ”か、それとも不公平感を減らすことによって、民間に活力を取り戻すか。正念場は今なのかもしれません。