新横浜改造計画

  • 1988年2月-まだビルは点在する程度で、空き地が広がっている

  • 1989年10月-横浜アリーナが確認できる

  • 2012年-現在の新横浜。近代の計画都市であるはずなのに・・・

横浜アリーナと日産スタジアムを擁し、オフィス街としても人気の新横浜は、もともと地盤の悪い湿地帯で、農地としてさえあまり活用されていなかった。現在のスケートセンターのあたりには養蛙場もあったらしい。

東海道新幹線の駅ができことから、徐々に開発が始まるが、そのスピードはきわめて遅く、1985年の地下鉄延伸下後も、駅前には遊休地が広がっていた。やがて新横浜1丁目に多数のラブホテルが立ち並ぶようになるが、これは駅前開発としてではなく、クルマでの利用者を見込んだものであった。

目に見えて開発が進むのは1989年に横浜アリーナがオープンした後である。ユーミンがこけら落としコンサートを行い、サザンオールスターズ(/桑田佳祐)はカウントダウンライブ会場として使用しつづけている。

さらに1998年になると、新横浜国際競技場(現:日産スタジアム)が完成し、2002年にはFIFAワールドカップの決勝戦は全世界に中継された。

このように新横浜は、駅前の”まちづくり”がゼロベースで開始され、そして発展した極めて稀少な街である。しかしながら、その道路交通行政は、戦後に開発された街よりも後進的である。>>絵に書いた街,>>自治の街vs警察主権の街

きびしい取り締まりか? 合理的な交通規制か?

ガイドライン/一方通行
(↑)マウスを合わせると、一方通行の例が表示されます。

ボロ儲けの公共駐車場

  • P1:市の土地をタダで借りて駐車場ビジネス(新横浜駐車場
  • P2:市の土地をタダで借りて駐車場ビジネス(北新横浜駐車場
  • P3:1車室あたりの収益は、月だいたい15万円(運営:市安協)

P1とP2は、(財)横浜市スポーツ振興事業団が運営する。
同財団の常務理事には、神奈川県警OBのポストが存在する。現在は伊藤敬氏。

決して広くない道路を漫然と相互通行とし、両側には比較的広めの歩道を配した新横浜は、路上駐車が極めて困難な街にされた。

そして、駐禁の罰則と取り締まり強化を織り込んだ改正道交法が施行された2006年、神奈川県警港北警察署は、新横浜の駅前一帯を、最重点地域として、駐車違反取締りのガイドラインに織り込んだ。こうして新横浜の中心街は、民間の駐車監視員が巡回し、きびしい取り締まりが行なわれることとなったのである。

しかしながら、新横浜の道路幅は、もともと相互通行をさせるにはせますぎる。交通管理者(警察)の交通規制に問題があるのに、そこに取り締まり強化を持ち込むのはナンセンスだ。

新横浜は、幹線道路をのぞき、一方通行でコントロールすべきだろう。

一方通行にしたら、約1000台分の路上駐車スペースが確保できる。そのうち1割程度を2輪車用に使えば、配送のクルマの問題を含め、すべての駐車問題は解決する。

実際、欧米では、こうしたやり方によって、日本とは比較にならないパーキングゾーンが設置されている。(→参照:バンクーバーロンドンハワイニューヨーク

これをやるかやらないかは、基本的には、港北警察署次第である。

もともとムリのある交通規制

新横浜の相互通行道路   新横浜以外の一方通行路

新横浜01
 
横浜・山下町

新横浜02
 
横浜・関内

新横浜03
 
横浜・山下町

新横浜04
 
横浜・元町

交通管理者と道路管理者

新横浜エリアの道路管理者は、国道以外は横浜市。一方、交通管理者は神奈川県警となる。

なお、既に完成した街路において、道路管理者の仕事は維持保全だ。一方通行にするかどうか、右左折の規制、パーキングメーターの設置――etc. これら道路交通法上の権限はすべて警察のお仕事である。

ちなみに、道路管理者が駐車場法上の路上駐車場(クルマ・自転車・バイク)をつくりたいと思っても、警察がNOといえば実現しない。事実、関東地区において、道路管理者が設置した路上駐車上は、埼玉に12台分が存在するだけである。

警察の壁

ご意見のあるかたは、港北警察署または神奈川県警交通規制課に連絡してください。

港北警察署:045(546)0110 県警本部交通規制課:045(211)1212

第一の壁

なお、神奈川県では、交通規制に関する事務は、『代行規定』によって警察本部長が決済できようになっています。したがって、交通規制は、県警だけで決めることができます。公安委員会は、形式上の権限者にすぎず、交通規制に関するいっさいの〝実務〟をしていません。

公安委員会の正体

しかしながら、係長級以下の警察官なら、ほぼ100%「交通規制は公安委員会が決めている」といって、まるで別組織が交通規制を決めているかのように責任転嫁をします。そこで、『代行規定』あるいは〝実務〟を強調すれば、なんとか話しができるようになるはずだ。

組織ぐるみのウソ

警察の用意するさらなる壁

第二の壁

「交通規制は公安委員会が決めている」の壁をクリアすると、警察は次の壁を持ち出して責任転嫁をするはずだ。それは〝道路管理者との協議〟だ。しかし、既に完成した道路を一方通行にするかしないか、について決定権は警察にある。交通管理者である警察が「やる」といえば、道路管理者に反対する理由はない。

第三の壁

こうして、いくつもの壁をクリアした者だけが、ようやく交通管理者である警察に意見をのべることができるようになる。そして、さらなる壁が、「規制してくれという意見がある」「取り締まってくれという意見がある」だ。警察は、地域に交通安全団体をつくっているし、意見の取捨選択できるので、この壁はデカい。

結局、今のように、規制と取り締まりの両方の権限を警察が握っている限り、ひたすら規制と取り締まりの強化ばかりが続いてしまうのだろう。

残された突破口

どうせ代行しているのだから、代行先を県警本部長ではなく、道路管理者にしてしまったほうがよいだろう。そもそも道路のソフトとハードという表裏一体のことを道路管理者と交通管理者という“縦割り”にするのは不合理だ。ちなみに欧米都市では、市が交通マネジメントを行えるようになっていて、道路(ハード)と交通(ソフト)が“縦割り”なのは日本だけだ。さらに、道路管理者と交通管理者の『協議』という作業は、完全に不透明で、それぞれが『協議』を不作為の言い訳にしている。

とにかく、都道府県警察の交通規制権を取り上げることは、親方である警察庁が民主的に変革するよりは、はるかに実現の可能性が高いはずだ。