平成14年4月21日 原告作成
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平成13年(ワ)第15800号 損害賠償請求事件
原告 野村一也
被告 今井亮一外2名

準備書面(3)

2002年(平成14年)3月20日

東京地方裁判所民事第18部ろB係御中

被告今井亮一,同平*泰*及び小谷洋之訴訟代理人
弁護士 山 下 幸 夫

被告らは,2002年(平成14年)1月22日付準備書面(2)第6に引き続き,被告今井及び同平*が,原告が名誉段損と主張する発言をするに至った経緯は,次のとおりである。

第1 黒木BBSにおける原告による被告今井に対する誹諦中傷行為

1 原告は,initia1_Pのハンドルで,閉鎖前の黒木BBSにおいて,突然,原告に対して誹誇中傷する投稿を行った(00/07/26(Wed)03:35「裏ガネの構造と月刊交通違反:個人の信念とポピュリズム」,乙4の3)。
貴方にとっての最後の砦はイエーリングのようですが,あれは反政府勢力がゲリラを動かすためにしばしば利用されていますよ。私には貴方のライターとしての仕事の多くはドライバーと現場の警察官とのゲリラ戦をアオる武器商人としての仕事であったと思います。
>悪質な運転をて取り締まりを受け,
>なんとかチャラにこい,逃げたい,
>という方に役立つものは当サイトにはありません。
>ただし,
>悪質な運転を見直すきっかけは提供できるかも。
と貴方のサイトには書かれていますが,貴方の雑誌のコラムや単行本には,悪質であろうがなかろうが違反をチャラにする惰報がほとんどです。
つまり(悪質も含めた)ドライバーに,取締りの警察官に対する武器を与えておきながら,
>自分が相手の立場におかれたときどれだけ勇気をふるえるのかを考えず
>(あるいはおかれることなどないのを前提に勇ましく?),現場の(末端
>の)警察官を責めるのは,組織の腐敗を擁護し,現場と国民を不要に敵対さ
>せるだけなんじゃないか……。
とのご発言には,整合性がないんですよ。
2 原告のこの投稿に対して,被告今井は,簡単に,原告の発言の意味がよく分からない旨の投稿をした(00/07/27(Thu)22:30「一貫性?日和見?んん?」, 乙4の9)。
そんなあなたの「一貫性」や「日和見」がナニを指すのかよくわからんです。
 その後, さらに,被告今井は,原告の発言の意味がよく分からないので説明してもらいたい旨を詳しく述べた(00/07/29(Sat)11:08「きっちりレスしときましょ」,乙4の4)。
>貴方にとっての最後の砦はイエーリングのようですが,
イエーリング(の著作)がなければ"我が軍"は総崩れになってしまうんですか?あれ〜(笑)。
>あれは反政府勢力がゲリラを動かすためにしばしば利用されていますよ。
協力な独裁圧政者を倒そうと立ち上がった市民の間で,読まれたんですかね。そのへん私は知りません。で,
ゲリラを動かすために利用されたことと,私の書き込みや著作における引用とは,どう関係するんですか?
>私には貴方のライターとしての仕事の多くはドライバーと現場の警察官との
>ゲリラ戦をアオる武器商人としての仕事であったと思います。
ドライバーと現場の警察官とのゲリラ戦?え?ゲリラ戦? ちょっと想像できませんが,具体的にどういうことを指すんですか?
>>悪質な運転をして取り締まりを受け,
>>なんとかチャラにしたい,逃げたい,
>>という方に役立つものは当サイトにはありません。
>>ただし,
>>悪質な運転を見直すきっかけは提供できるかも。
>と貴方のサイトには書かれていますが,貴方の雑誌のコラムや単行本には,
>悪質であろうがなかろうが違反をチャラにする情報がほとんどです。
違反をチャラにする情報?
「交通の安全&円滑とは関係ない"取り締まりのための取り締まり。を受けた(と思った)とき,『ちえっバカヤロ』でカネを払い,『警察は汚え』と恨んでていいのか。自分の運転や考えに自信があるなら,カネを払わずに堂々と主張することもできるんだよ。その手続きは具体的にはこうなってる。多くの人が不起訴になってる。ただし,『イイこと聞いた。うまく立ち回ってチャラにしてやれ』と思ったって,痛い目を見るだけだと思うよ。当局は,そういうズルイのを見破ることにかけてはプロだから」
だいたいそういうことを,私は,いろんなケースについてくり返し書いてるわけですが,それが「悪質であろうがなかろうが違反をチャラにする情報がほとんど」になっちゃうわけですか。
う〜ん回まあ,公に発表する以上,(筆者にとっては)見当違いの批判がくるのは,避けられないことですね。
>つまり(悪質も含めた)ドライバーに,取締りの警察官に対する武器を与え
>ておきながら,
「取締りの警察官に対する武器」ってのが,わからんですね。具体的にどういうことを指してるんですか?
>>自分が相手の立場におかれたときどれだけ勇気をふるえるのかを考えず
>>(あるいはおかれることなどないのを前提に勇ましく?),現場の(末端
>>の)警察官を責めるのは,組織の腐敗を擁護し,現場と国民を不要に敵対
>>させるだけなんじゃないか……。
>とのご発言には,整合性がないんですよ。
なぜ「整合性がない」のか.わかりません。「取締りの警察官に対する武器」の意味がわからないからでしょうね。
3 ところが,原告は,被告今井の2の後半の投稿には反応せず,前半の投稿に対して,次のような投稿をした(00/07/28(Fri)02:54「市民流裁判ゲーム」,乙4の8)。

裁判とは。裁判官というたったひとりの評論家の前で,原告と被告の陳述のどちらが説得力を持つかを競うゲームです。
『市民流栽判ゲーム』という今井氏の本を私は読んだことはありません。しかし題名から勝手に内容を膨らませると,今井氏と私のやりとりは,掲示板の閲覧者という陪審員の前でどちらの方が説得力を持って持論を主張できるか,というゲームです。今井氏が「オレはそんなゲームに乗る気はない」と思ったとしても,公開された掲示板で譲れない主張を展開する2人は既に『裁判ゲーム且の舞台に立っています。
陪審員はこの掲示板を見ている閲覧者のあなたです。裁判ゲームには陪審員の判断の多数決はありません。陪審員であるあなたの判断がひとつの判決です。

 このように述べて,突然,原告と被告今井は「裁判ゲーム」の舞台に立っていると主張し,さらに,
■そこで反論
私には許容範囲がありますが,それを完全に超えてしまうのは“権力に伴う責任を自覚せずに私腹を肥やすこと"です。
これまでの日本警察は【市民の安全】を大義名分にして,市民の安全への効果がほとんどない施策に予算を投じ,組織の利益を追求してきたと言っても過言ではありません。凶悪犯罪をアピールして正義の味方として世論の賛同を得ていたわけです。
今丼さんはこれまで警察の悪の部分をアピールして,その筋では『7千万ドライバーの味方』などと持ち上げられましたが・現実として問題を明らかにしようとすることはなく,ドライバーと警察官との対立をアオってだけ,それが今井さんの仕事に対する私の評価です。
もちろん閉鎖された情報を公開してきたことは評価されるべきだと思いますが,問題はドライパーに武器を提供するだけで現場での対立をアオり,また警察を意固地にして問題を大きくしてしまった`結果'にあります。武器商人はカタナ→鉄砲→戦車(戦艦)→戦闘機→原子爆弾と武器の単価を上げたり,戦争がなくならないようにしないと継続した商売ができません。
今井さんが私の問いかけに対して「何で目標を持たなければいけないんだ」と反論したことがあります。戦争を無くしたいという私の目標に対して武器商人である今井さんはそのまま放置して置けない存在なのです。

■最初の間いかけに戻ります
(取締りの正当性や違反が事実か否かは全く問わずに)
納得がいかないなら闘え!という基本姿勢を変える気はないのですか?

 と述べて,再び,被告今井のこれまでの仕事に対して,「ドライバーと警察官との対立をアオった」,「武器証人」などと誹誇中傷したのである。

4 これに対して,被告今井は,次のような投稿をして,その意味の説明を求めた(00/07/29(Sat)12:38「私の基本姿勢ほか」,乙4の5)。

>ドライバーと警察官との対立をアオってだけ,
だから,これがわからんのですよ。私が「アオった」「ドライパーと警察官との対立」とは具体的にナンですか。

 ところが,この問いに原告は答えず,原告は,さらに被告今井を誹誇中傷するような次のような投稿をした(00/08/01(Tue)OO:29「カウンター気味の軽いジャブ」,乙4の6)。
裁判`ケーム'なんだから,「否定しなければ認めたことになる」かのような脅追観念に捕らわれなくてもいいですよ。全てをキッチリ否定したい気持ちは分かりますが,それに答えようとする相手の身になれば,違ったやり方もあるのでは?
今井さん ⇒   私   ⇒  今井さん  ⇒ 私
>○○○   >>○○○   >>>○○○   >>>>○○○
▲▲▲    >▲▲▲    >>▲▲▲   >>>▲▲▲
         □□□    >□□□    >>□□□
                  ■■■    >■■■
                          △△△

こんなやり取りでは犬も食いません。
また断片的な切り返しはくだらないメンツの争いに陥りやすく,それが続くと陪審員も興味をなくします。
 また,原告は,次のような投稿を行い,さらに,被告今井が原作を担当している連載漫画に対する非難を通して,被告今井に対する誹誇中傷を行った (00/08/09(Tue)06:10「体重を乗せて右ストレート〜本来の目的(大義名分)と`効果'の乖離〜」,乙4の7)。
ビッグコミックスピリッツ連載中の『被告人,前へ』は,マンガの原作という今井氏の長年の夢と,交通違反で培ったキャリアの集大成なのではないかと思います。
そのマンガのイントロダクションとして“自動速度取締器の誤測定"という現在では皆無に等しい事例を持ちだして、警察の悪い面だけを露骨に強調し,悪質なドライバーが芯用できる知識を与えようとしている事実は,
>「自浄はムリだ。せめて外部から風を吹かせてくれ」
>と苦しんでいるだろう警察官たち〜
というご発言との矛盾を指摘するには十分な材料だと思います。
5 しかしながら,原告は黒木BBSが閉鎖されてしまうまで,被告今井からの疑問に正面から答えることはなかったのである。
第2 再び旧BBS別館で原告が発言するに至る経緯
1 原告は、黒木BBSが閉鎖された後,平成12年8月28日,自らはもう「月刊交通違反 On the web」の「交通取り締まりに“NO!"と言えるBBS」(以下,「旧BBS」という。)には行かないと宣言していたにもかかわらず,前言を翻して,旧BBS別館への書き込みを再開した(乙5)。
2 原告は,同年9月3日03時10分57秒,「今井亮一さんへ」と題する投稿を行った(乙5・521頁)。しかしながら,被告今井は,黒木BBSにおいて,下記の点を触れていたにもかかわらず,原告は「全く触れることはありませんでした」と事実に反する発言をしたのである(乙10・46〜49頁参照)。
『initial_Pさんについて』投稿者:今井亮一さん
9月2日(土)17時25分43秒より
>たしか,このBBS別館へ移るんだったらまず,という形でだったでしょう
>か。そこまで書いたかどうか忘れましたが
今井さんはこのBBS別館へ移るんだったらまず”どころか,移ることをには全く触れる'ことはありませんでした。
※私の記憶はそれ程いいかげんではありません。
3 また,原告は,同年9月6日06時19分22秒,被告今井及び同平*に対して,次のような投稿をして誹誇中傷をした(乙5・494頁)。
証拠がなくなった後の本題からはずれた“すりこみ"は順調のようですね
★ハンドルネームを使い分ける1nitial_P(もと野村一也さん)
★今井さんの質問には答えず自分勝手な発言を繰り返すInitial_P
4 さらに,原告は,同年9月6日06時20分26秒,'被告今井に対して,次のような投稿をして誹誇中傷をした(乙5・493頁)。
私には今井さんがこの掲示板を混乱させて,事実をウヤムヤにさせる意図があるとしか、思えません。
5 原告は,自分が旧BBS別館への書き込み別館に来た理由について,「決して,道場破りのつもりで今井氏の理念を否定するためにここに書いているわけではあり'ません。」と述べているが(同年9.月6日06時21分26秒。乙5一・493頁),このような内容をあえて述べている点に,原告の真意が表れている。
第3「裁判ゲーム」から本件訴訟の提起へ
1 前記第1,3において述べたように,原告は,「市民流裁判ゲーム」と称していたが,被告今井は,原告がそれを理由に誹誇中傷を繰り返すことに対して,「訴状」がそもそもないことを指摘した。すなわち,平成13年1月17日15時19分31秒,被告今井は,次のような投稿をした(乙5・31頁)。
ところで,「文全体のメッセージを読み取る」という作業をしてみると,あなたは,「陪審員」とやらの前で私と「泥仕合」とやらを延々と演じたがったり(なるほどそもそもの訴状がないのだから結審しようがない),また、私と2人でキックボクシング(?)のリングにあがってライトを浴びているつもりになったり,どうも,「今井亮一と渡り合って観客の注目を溶びている白分」を愛しているような,そんな感じですね。
2また,被告今井は,同年2月14日,同年3月15日などに,「訴状」が出ていないことを指摘した(以下のログは追って提出予定)。
しかし,あなたがいったい何を言いたいのか,さっばりわからないんです。
裁判だ裁判だと言ってますが,そもそもの訴状がないんですよ。訴状のない裁判なんてありますか。刑事裁判だとしても,起訴状も冒頭陳述もないし。ただ「泥試合」(※「泥仕合』の誤記?)とやらでドロドロになりたいだけなんですよね。
3 さらに,被告今井は,同年3月15一日にも,「訴状」が出ていないこ'とを指摘した。
それから,裁判だ裁判だとしきりに言いながら,そもそもの訴状がいつまでたっても出ないのは,いったいどうしたごとなのですか?
4 その後も,被告今井は,同年4月13日,同年4月23日にも,「訴状」が出ていないことを繰り返し指摘した。
5 これに対して,原告は,同年4月24日「訴状をお望みですか?」との表題で,次のように述べて,「訴状」を出すと言い始めた。
『裁判ゲーム』についてはNo.668にも書いたのでご参照願います。
なおこの階層に並べて投稿した私の発言に対する今井さんの反応によってはお望み通り訴状を出しましょう。
6 その後,平成13年5月14日07時37分,「平*泰*さん(と今井亮一さん).へ事前通知」とのタイトルで,新BBS別館において,次のように述べて,実際に訴状を裁判所に提出することを宣言した。
弁明を求めても平*さんはシランプリだし,今井さんは私に訴状を要求しているので,
損害賠償及び謝罪請求を提訴することにします。
平*さんと今井さんのおふたりが共同被告です。
なお今井さんのご住所の管轄は八王子地裁ですが,平*さんのご都合もあると思いますので合意管轄裁判所を決めましょう。私は八王子でも東京でも棲浜でもOKです。
訴状は合意管轄裁判所が決まった後,この掲示板上で公開します。
※この合意管轄のオファーに対して意志表示がなければ,平*さんも八王子地裁を管轄裁判所とすることに合意したものとさせていただきます。
もちろんこの場合も掲示板上に訴状を公開します。
7 その後.平成13年6月6日09時59分には,「訴状の前に証拠保全」との表題で,証拠保全の申立書を新BBS別館に投稿した。ところが,被告今井に対して,裁判所から証拠保全に関して何の連絡もなく,被告今井は,そのことを新BBS別館において報告した。
8 その後,本件訴訟が提起されるに至ったものである。
第4 名誉毅損による不法行為が成立しないこと
1 本件においては,インターネット上の掲示板(BBS).においての被告今井及び同平*の発言が,原告の名誉を毀損するとして不法行為が成立するとして本件訴訟が提起されている。しかしながら,本件各BBSは,いずれも,誰もが自由に発言することが可能であり,仮にBBS上の言論によって名誉襲損をされた被害者がいたとしても,その加害者に対し,必要かつ十分な反論をすることが容易な媒体であると認められる。実際にも,原告は,新旧BBS別館を通じて,最多の発言回数(200回以上), 発言文字数を誇っており(乙8),被告今井及び同平*の発言に対しても,十分に反論を尽くしている。したがって,万一,被告今井及び同平*の発言が原告の杜会的評価を低下させる可能性があるとしても,原告の反論が十分な効果を挙げているのであるから,原告の社会的評価が低下する危険性は認められず,名誉撃損は成立しない。
2 また,そもそも,本件においては,原告が,被告今井及び同平*に対して相当性を欠く発言を繰り返し,それに誘発される形で、被告今井及び同平*が,原告にに対して原告が指摘する発言をしており,被告今井及び同平*の発言は,対抗言論として許された範囲内のものとして認められると解すべきであるから,被告らの行為は違法性を欠き不法行為は成立しない。
3 原告は,被告今井との論争を「市民流裁判ゲーム」と呼んで,インターネットの掲示板の閲覧者を巻き込んで,被告らを挑発するような発言を繰り返した。原告は,交通ジャーナリストとして著名な被告今井に論争を挑むことによって,自らもインターネット上で有名になることを企図していたものと考えられる。そのような状況の中で,被告今井から,「裁判ゲーム」の「訴状」がないことを指摘されるや,裁判所に証拠保全申立書を提出し,さらに本件訴訟を提起したものである。
4 原告は,本件訴訟をテーマとしたホームページを開設し,頻繁に更新を重ねながら,原告と被告らが提出した訴状,答弁書,証拠説明書,準備書面の全てを公開している(乙41の1,2)。このホームページでは,被告らの氏名は全て実名で公表され,被告らを非難する痛快系ジャーナリストが仕組んだ言論による集団暴行?」などの文言が掲載され,広く公表されている。被告から裁判所に対する上申書を提出し,このホームページでの書面等の公表について裁判所から辞めるように指導されたにもかかわらず,原告は現在においても上記ホームページを公表し続けているのである。
5 以上からすれば,本件訴訟の目的は原告の名誉毀損による被害の回復ではなく本件訴訟の存在及び内容を,インターネット上で広く公表すること自体にあることは明らかであり,原告の社会的評価の低下やそれに基づく損害の発生などないことは明白である。そのことは,原告は,本件訴訟において名誉毀損であると指摘する被告今井及び同平*の各発言について,被告小谷に対して,電子メール等により削除依頼をしていないことからも明らかである。(乙36・7頁)。
6 よって,原告の請求には理由がなく,原告の請求は速やかに棄却されるべきである。

以上