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2002年05月02日
交通安全協会
福井県で約2億円が使途不明 着服の課長を懲戒


 福井県交通安全協会(川崎巌会長)の収入証紙販売など収益事業積立金のうち2億3000万円余りが使途不明となり、会計を担当する前総務課長(66)で元県警厚生課長(事務職)が着服を認めたため、同協会が4月25日付で懲戒免職にしていたことが2日分かった。前課長は商品先物取引に充てるため私的に流用していたらしい。同協会は同日、臨時の理事会を開いて業務上横領容疑での告訴などを協議、県警は捜査を始める。

 同協会によると、前課長が今年6月に定年退職予定だったため、引き継ぎを兼ねた決算業務をしていて今年2月ごろ発覚。内部調査で前課長が着服を認めたという。前課長は94年ごろから商品先物取引をし、96年から昨年12月までの間、1回につき数十万円から100万円程度を着服。被害総額は2億3000万円を超し、積立金の大半にあたるとみられるという。

 同協会安全講習などを実施。任意加入のドライバーからの年会費収入や、免許更新時に県の収入証紙を販売するなどした手数料などで運営している。 【川口裕之】

 2億円を超す巨額の使途不明金が2日発覚した福井県交通安全協会協会幹部は「申し訳ない」「個人がやったこと」と陳謝を繰り返すばかり。元警察職員の不祥事に関係者はショックを受けている。

 同協会によると、被害に遭った積立金は、銀行や信用金庫など複数の金融機関に預貯金していた。通帳などの管理は前課長1人に任され、年1回、下部組織の地区安全協会の幹部が監査を行っていたが、着服には気付かなかったという。

 同協会の運営は、免許更新時に県の収入証紙を販売することで得る手数料、運転免許証明写真の撮影料、同県運転者教育センターの食堂などの収益事業の利益▽ドライバーから任意徴収する年500円の会費▽免許講習など県からの委託事業収入の三つが大きな柱。うち年会費は下部組織にほぼ全額が回り、収益事業積立金は職員の退職金などに充てられていた。

 同協会の小林正雄専務理事は「不祥事を起こして申し訳ない。着服されたのは収益事業の積立金で、会費そのものは被害に遭っていない。今後は管理態勢を強化する」と沈痛な表情だった。

 同センターに免許更新に来ていた福井市内のパート主婦(49)は「今までは会費を漠然と支払っていたが、このようなことが起きると会費を払いたくなくなる」と不信感を募らせ、同県武生市の短大生の男性(22)は「チェック態勢がいい加減だったのだろう」とあきれていた。

[毎日新聞5月2日] ( 2002-05-02-13:45 )