以下の文章は、閲覧者の方からいただいたメールの抜粋です。
トラック業界経験者の貴重なご意見として掲載させていただきました。

 私は2輪から大型トラックまで運転するため、一般の方々よりは多少広い角度で道路交通を眺められると思います。私が大型トラックの免許を取ったのは大学在学中で、借金の返済資金を長距離トラックを運転して稼いでいた経緯があります。そのためトラック業界の実態にも多少詳しいです。

 トラックというのはあくまでもツールに過ぎません。行動に問題があるトラックやトラック運転者を生み出している要因は、運搬手段であるトラックではなく、その原因、つまり荷物なのです。実際、トラックを大きさ(2トンか4トンか10トンか〉とか車種(平車か箱車か)ではなく何を運ぶかで分類すると、驚くほど行動パターンを分類・理解できます。

 で、トラック乗りというのはプロフェッショナルですから、見かけやイメージととは裏腹に聞き分けはいいし、そう無茶もしません(デコトラでさえ)。彼等とその業界は、野村さんの主張を始からわかっていて、それなりに実行しています(少なくと努カはしています)。で、問題を起こしているトラック乗りとその業界は、その環境に同情の余地はあるとはいえ、確信犯です。何を言おうが聞く耳など持っちゃいません。このような状況でトラック乗り全体に呼ぴかけても、問題が解決する見込みぼあまりないわけです。

1.トラック行政は決して甘くない。

 そうであったらどれほどうれしいか。実際のところ、トラックだからといって警察がお目こぼししてくれた経験は(自身でも伝聞でも)『皆無』ですらおまげに乗用車であれば違反すれば反則金を払って点数が減ってそれでおしまいですが、事業用車両の場合はそのあとに事業所に対する処分もあるんですよ。一種の連帯責任です。

 税金その他の優遇措置ですが、輸送コストが商品流通コストの大部分を占めていることを考えると、結局は消費者の利益になっていると思います。事業用と家庭用とでは車両の走行距離が全く違いますから。各種のボリュームディスカウントがあるのぼ当然だと思います。

2.トラック運転手は乗用車運転手より絶対的に運転は上手。

 あくまでも『絶対的に』ですが。乗用車運転手はトラックをまず運転できないが、トラック運転手で乗用車を運転できないものはいないというのはその証拠だと思います(実は、一人だけ例外を知っています。そいつは運転免許は全部持っていてなんでも運転できるのですが、彼はその免許を北海道の自衛隊で取ったのでした。つまり、戦車しか運転したことがないという...。かれが除隊後に私たちの仲間になったのですが、彼の乗用車の運転はそれは恐ろしいものでした)。

 では、なぜトラック運転者の事故があんなにも多いのか?それには、延べ走行距離、延べ運転時間が全く違うということも当然ありますが、やはりそれ以上にトラックの運転は難しいということに尽きると思います。つまり、相対的には、もっと技量を上げる必要があるということでしょう。

 では、プロのトラック運転手とそうでないドライバーのを区別するものは何でしょうか?実は、何もありません。野村さんは普通自動車免許を持っておられますので、何ら問題なく4トントラックを運転することができます。そして、4トン車と10トン車の間の運転技量の差は、乗用車と4トン車の差よりはるかに小さいのです。結局のところ、トラック運転手というカテゴリの根拠は、運転手本人の意思でしかないのです(タクシ運転手は違います。彼等には二種免許が必要です)。

 運転はトラック乗りの表芸ですから、うまくなれというのは当然なのですが、法制度上はトラック乗りもマイカー運転手も同じ人種の扱いなのです(というか、そもそも法制度上ではマイカー運転手という概念を認めていないのではないかという気がします。人身事故を起こすと『業務上過失致死傷になるのもその現われかも)。

 トラックの安全性は、ここ10年で確実に進歩しました。強カなブレーキが開発されていますし、ABSは義務ですよ。しかし、それを運転するドライバーの技量は?どころか、確実に低下していると思います(でも少なくともマイカー運転手よりは上手。一番上手なのは?それは車を運転しない人。無事故率100%。いやまじで)。

3.トラックは非力な存在である。

 えっ、なんでと思われるかもしれませんが、トラック乗りはその非力さをテクニック(や度胸)でカバーしているのです。で、トラックの特性によるやむを得ない運転操作が、そのことを知らない乗用車(ほとんどの運転手が知ってるはずありません)には威圧をかけているように受け取られます。私の感覚では、いわゆる意地悪するトラックの70〜80%は単に物理的な特性の問題だと恩います。あとの20〜30%?それは野村さんがおっしゃる通りです。

 で、トラックのどこが非力なんじゃい!モンスターちゃうんかい!と思われるでしょうが、それもその通り。私など自分の乗っていたトラックの車検証を見て、びびったものです。『排気量25,000t。にまんごせんし一し一? 25リットル? こいつばけもんか?』と思った記憶があります。ところがっ!そのエンジンパワーをもってしてもっ!泣きたくなる位走りません。特に満載時の登坂性能にいたっては本当に泣いてしまいます。長距離運転の所要時間に影響するのは、最高速度ではなくて最低速度なんです(数学的に)。どんなに無茶な飛ばし方をしたところで、ロスした時間は取り戻せないんです。だから長距離ドライバーはほとんどパーキングに止まりません(まあ、トラックのキャビンは4〜5時間の連続運転はまったく平気なくらい快適なのですが。乗用車だとこうはいきません。自動車メーカーは乗用車のキャビン設計は手を抜いているんですよ。みんなだまれているんです。乗用車の素人をおちょくった設計は他にもたくさんあります。
国内用と、目の肥えたユーザの多い輸出用とで設計が違うなんてあたりまえですからね)。

 話題がそれましたが、トラックと運転性能はだいたい30年前の乗用車に相当すると考えてください。で、具体的に乗用車をいじめているように見えるけど実はそうではないケースを見てみたいと思います。

A.トラックが幅寄せしてきた!
 一般道路の車線の最低設計帽2.5mに対して、大型トラック(ワイドポディー)の車幅は2.4mもあります。つまり、余裕は片側5cmしかありません。トラックでばこの5cmの幅のコントロールは十分可能ですし要求されます。トラックには幅寄せするほど車線に余裕がありませんし、幅寄せしているように見えてじつはやむを得ず完全に制御された状況下でレーンをまたいでいることもあります。乗用車では側方間隔を目視できず、感に頼って運転するしか、ないので(設計の手抜き!)こんな運転は不可能なので普段から十分に側方間隔をとって運転するのがよい態度ですなのですが、その間隔からするとトラックは必要以上に間隔を詰めてくるように思うわけです。よく言われるトラックと乗用車のサイズの差による遠近感の錯覚も、トラックが幅寄せしているように感じますが危険はほとんどありません。もし明らかな幅寄せであれば(そんな危険な行為をする運転手はめったにいません)、それはかなり悪質な運転看か居眠り運転で非常に危険です。心中する必要は全くないのですぐに離れましょう。

B.トラックが狙いすましたように黒煙をはきつけてきた!
 常時黒煙をはいているならそれは整備不良です。そうではなくて、追い越しざまに横に向けてすごい音と共に排気煙をぷつけてきたとか、目の前に割り込んだとたんにやはり音を立てて煙を浴ぴせられたということはよくあると思うのですが、これはわざとじゃないんです。排気ブレーキの特性で、エンジンブレーキを効かせた状態から加速に移る瞬間にはこうなってしまうんです。で、間の悪いことに追越レーンで前方の低速い車が走行レーンにどいてくれた瞬間というのがまさにこれなんですね。ドライバーは感謝しこそすれ、『へっ、ようやくどきやがっ てこののろまがよ。おめ一なんかが追越車線をちんたら走ってんじゃねえよ、ボケッ』といっているわけでは決してないんですよ。決して!

C.夜間の数珠繋ぎ走行で、後ろのトラックがヘッドライトでいじめる!
 トラックは停止距離が長いですから、より遠くを見通すためにヘッドライトは乗用車に比べて強カです。おまけにライト位置が高いので、信号待ちで停止したときなど光軸が前の乗用車の運転席をもろに直撃します。前の乗用車の運転者は、ハイビームにしてるんじゃないか思うかもしれないけれど、あれがロービームなんです。でもトラックのフォグランプは逆に低い位置にありますから、最近のプロジェクションフォグランプを常時点灯したり、フォグランプ「だけ」を点灯するばか乗用車に比べるとはるかにましです。許してあげてください。

D.後ろのトラックが車間を諾めて威圧してくる!怖い!
 これに関しては正直そういう面があると思います。しかしこれには事情があります。トラック乗りには、トラックの重量が大きくなればなるほど同じスピードで走ろうとする特性があり、加減遠を嫌うようになる傾向があります。加速はやりたくてもできないので、つまりは減速を嫌うわけですね。せっかく苦労して稼いだ運動エネルギーを、簡単に捨て去ることはできないのです。で、前方に低速車がいて、その車が別車線に移動可能な場合(ここが重要)、ぎりぎりまでブレーキを踏むのを我慢してその車が別車線に入るか加遠してくれるのを期待することになります。ま、威圧しているといえばその通りでしょう。
 普通のトラック乗りは、前方の低速車が安全に車線変更できる状態にない場合にはあきらめて減速するはずです(トラックは再加速が困難ですから、減速しっぱなしになります)。どけるのにどかないのは本当にトラックいじめなので、ぜひどいてあげてください。

E.追越車線で後ろのトラックが猛スピードで接近してきて、パッシングする (下り坂編)!
 下り坂で後方のトラックがパッシングする場合は、2つ考えられます。1つは、前方車がすでに危険な車間距離にいて、事故を回避するために必死でどかそうとしている場合です。前後者が並走している場合はこういう事態にはなりにくいのですが、となりの走行車線にいる乗用車が、車間距離が不十分なのに前方に割り込んで追い越しをかけるケースは良くあります。とくにトレーラーはジャックナイフ現象がありますからこのような行為は自殺行為なのですが、乗用車は自分が危険行為をしている、また今非常に危険な状態にいることに気が付いていないのです。このような時、車間にもよりますがトラックはまずパッシングし、ついで右ウインカーをだし、ブレーキを踏みます(但し、下り坂ではブレーキの利きは甘いですから、前方車にはトラックが減速中であることはわかりにくいです)。ちなみに右ウインカーは、前方者にどけというサインと誤解されていますが、本来の意味は巡航速度からはずれて減速するぞという追随者への警告です。トラックの追随者には前方の様手がわからないので、いきなりブレーキを踏むと追突の危険があるのでこのようなサインを出すのですが、これが前方の車からはどけと言っているように見えるのですね(そういう意味で使う場合もあります)。
もう1つは、下り坂の次に上り坂が控えていて、下り坂で遠度を稼いでおかないと上り坂を上りきれない場合です。特に旧式のトラック(旧式でも手入れがよいとおんぼろには見えません)は馬カがないので運転手も必死です。ぜひ素直にどいてあげてください。

F.追越車線で後ろのトラックが猛スピードで接近してきて、パッシングする(上り坂編)!
 前項と同じです。このトラックは、ここで減速したが最後、失遠してあとはハザードをつけてのろのろと上っていくしかないのです。時速80キロで、10分かかる連続上り坂(ということは、距離にして10数キロ)があるとします。この坂をハザード状態で時速10キロで上っていくと、1時間20分もかかってしまうのです。こんなのが2〜3回あれば、睡眠時間が吹っ飛んでしまいます。
この変形で、上り坂で追越車線を走っていたら走行車線からトラックが目の前に飛び出してくるというものもあります(しかも排気煙を浴びせ掛ける)。これも同じ原理で、このトラックは失速速度ぎりぎりで追い越しの機会を探していたのです。上り坂で追い越しをしたがっているトラックは、むしろ進んで追越車線に入れてあげてください。

 以上のようなケースは、乗用車から見ると威圧しているように見えますが、決してそうではない・誤解を招きやすいケースです。どうか理解してあげてください。

4.本当に性質の悪いトラックに仕返しをするには

 以上が感じの悪いトラックの70〜80%なのですが、残りの20〜30%の暴カトラックがいるのも事実です。やはり大きなトラックで高い視点で見下していると、増長した心理状態になりやすいですし、ちゃんと交通法規を守って運転している乗用車がて20キロ超で暴走してくるトラック(に限りませんが)に道を譲ってやる必要なんかありませんね。

 で、こういうトラックにお灸を据える方法なんですが、これは意外と簡単なんです。
しばらく車線変更せず、法定速度で巡航運転する。これだけです。あまりあからさまにやりたくない場合、極めてゆっくりと時間をかけて車線変更するという方法もあります。

 速度違反の高速巡航を維持したいトラックというのは、それなりの切迫した事情を抱えています。そうしたと割ここれをやられると、乗用車しか運転しない人には想像できないくらいダメージが大きいんです。理由は前述の通り。特に上り坂でやられた目には...(涙)。でも、ほどほどのところで許してあげてくださいね。ちなみに、下り坂では絶対にやってはいけません。そのうち死にます。

 ちょっとトラックの立場を理解していただきたく、長文になってしまいました。
この問題を解決するには、やはり荷物の側から分析していかないといけないと思うのですが、そうすると本当に長くなるので割愛します。もしご興味があればいつでもお話しますのでご連絡ください。

これからも野村さんのホームページに、より一層社会の注目が集まりますように期待しております。


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