交通違反は犯罪なのか?2002年6月、飲酒運転の規制がとても厳しくなった。事故を減らすための規制は大いに結構、といいたいところであるが、厳しすぎる規制もまた問題だ。なぜなら強い薬には副作用があるからだ。 |
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| フランス 革命後のフランスでは、1808年には犯罪者取扱い法、そして1810年には刑法が作られた。 犯罪者取扱い法によって、強制捜査と、任意捜査が適正に行われるようになり、また刑法では、 crimes(犯罪), misdemeanors(軽犯罪), violations(違反)の3つが明確に区別されるようになった。そして、 この区別は1994年施行された刑法にも踏襲されている。 |
アメリカ合衆国 アメリカの酒気帯び基準を調べると、必ずといってよいほど “per se law ”という言葉が出てくる。これは“それ自体が不法”という使われ方をしている。 つまり、実害をあたえた“犯罪”とは区別されているのである。 |
ニッポンの酒気帯び基準は妥当か?2002年6月に引き下げられた新たな酒気帯び基準(道路交通法施行令第44条3)では、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとされている。警察の取締りでは、おもに北川式と呼ばれる試験器で呼気中濃度が測定されるが、実際の“酔い”を左右するのは血中濃度である。そこで「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム」について詳しく調べてみよう。 ニッポンの酒気帯び基準0.3mg/mlは、アメリカの州で最も多い0.8mg/mlの半分以下の数値だ。ちなみにイギリス、カナダ、スイスも0.8mg/ml。フランス、イタリア、ドイツは0.5mg/mlである。ニッポンは厳しすぎるのではないだろうか? 次に罰則の内容を見てみよう。 日本の酒気帯び運転の罰則は、30万円以下の罰金または1年以下の懲役+減点6という重罰である。ちなみに時速30キロを超える速度オーバーの罰則は、10万円以下の罰金または6ヶ月以上の懲役となっている。 つまりニッポンは、国際的に低い酒気帯び基準に重罰を科したことになるのだ。(もちろん速度規制だって海外に比較すれば十分に低いのではあるが・・・) 別の問題として、諸外国では“違反”と“犯罪”が区別され、酒気帯びの許容量が公開されているのに対し、ニッポンではそれがまったく明かされてこなかった、という違いがある。酒気帯びの標語が「飲んだら乗るな」とされたために、余計な発表をしなかったのだろうか? とにかく「どの程度が“違反”なのか」さえも明らかにされなかったのである。こうして、「自分で判断する道」を絶たれたドライバーは、ビール1杯を口にした後でさえ、犯罪者意識を持たされることになったのだろう。 このように酒気帯びの許容量を発表しなかったニッポンで、酒気帯び基準を下げるということは、単に取締りの効率を上げることが目的である、といわざるを得ない。なぜなら、そもそも「どの位飲んだら違反なのか?」を知らないドライバーに対し、「呼気中のアルコール濃度が0.25mg/lから0.15mg/lに引き下げられました」などと伝えても理解されるわけがないからだ。 罰金を上げることはともかく、少なくとも酒気帯び基準の引き下げについて言えば、規制強化の目的として掲げられた「飲酒による事故を減らす」という文句は、警察の取締りを正当化するための名目に過ぎない、といってよいだろう。 最大の疑問は、規制強化の発端となった事故がトラックの過失によるものであったにも関わらず、規制の対象をトラックに限定するのではなく、すべてのドライバーをターゲットにしたことである。規制強化の発端となった事故とは、都内で起きた少年ひき逃げ事件(1997年11月)と東名高速における飲酒トラックの追突事故(1998年2月) 。この二つの事故だ。二つの事故では、共に交通犯罪の量刑に不満を持った遺族が署名を集め、それが道路交通法と道路交通法施行令の改正を後押ししたのである。 ちなみに、2002年6月に施行されたのが、道路交通法施行令で、2001年12月に改正されたのが、道路交通法だ。道路交通法施行令の改正経緯を調べてみると、世論の影響を受けて改正したことが明らかになる。通常、法令の改正する際には、統計を根拠とするして添えられるのが慣例であるのに対し、今回の法令改正では、いくつかの事故例が参考とされているだけで統計は添えられていない。そこで統計を見てみると、飲酒による死亡事故は減少傾向にあることが分かる。 飲酒を許容する風潮をつくったのは誰なのか?今回の法令改正において、警察庁は「飲酒運転を許容する風潮に歯止めをかけたい」とのコメントを出している。しかし自らコメントした風潮に対し、はたして警察は効果的な取締りをしてきたのだろうか?
飲酒検問の多くは交通安全キャンペーン期間に行われている。そして、これら交通安全キャンペーンは大々的に広報されている。 こうした大々的な広報は、警察の活躍をアピールするためには有効なのだが、飲酒運転の常習者に向けては 「交通安全運動の間だけは自重しろ」といっているようなものである。もしも警察に本気で飲酒運転を取締る気があったのなら、こうした分かりやすい方法で取締るのではなく、抜き打ち的に、繁華街の出入り口付近での飲酒検問をしていたはずだ。
表向きの交通安全運動期間では、勇ましく取締りを行い、裏側の日常業務では、とても効果的とはいえない取締りの実態があるのだ。こうした光景をうんざりさせられるほど見てきたドライバーは、「オモテ向きにはカッコいいことばっかり言って・・・」とあきれていたのではないだろうか。その上、シートベルト違反のような軽微違反を厳しく取締ってきたことが、警察に対するドライバーの反感を増長させたに違いない。つまり、交通安全運動は警察広報に利用され、交通取締りは警官が点数を稼ぐ道具とされてきたことがドライバーに見透かされていたのである。 こうして警察はドライバーに嫌われ、同時に交通規制と交通取締りへの理解も得られなくなっていったのだろう。 水と安全が高い国 罰則や取締りはともあれ、飲酒運転は慎まなければならない。 しかし、よく考えると、発泡酒の145円から酒税分の46.75円を引くと残りは98.25円。では、なんで缶ジュースはぜんぶ115円(税込120円)なんだろう? ニッポンは、水と安全の両方がとても高い国になってしまったようだ。 もっと詳しく知りたい方はご参照ください。 |
![]() ![]() 警察庁統計より作成
酒気帯び基準の国際比較
![]() 警察庁統計より作成
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