up dated 2001.11.13

交通死ワースト1は北海道警察に作られた !?

 

■なぜ警察は交通死者数にこだわるのか?

北海道警察が交通安全キャンペーンを行うときには、必ず次のことが添えられる。
「北海道の交通事故による死者数全国ワーストワンを返上するため」
しかし本当に北海道はワースト・ワンなのだろうか? 統計をよくみてみよう。

『事故発生件数』『負傷者数』『死亡者数』の各項目での比較

順位
1
2
3
4
5
都道府県 事故発生件数
神奈川 62,420
東 京 62,415
大 阪 55,208
福 岡 45,669
愛 知 44,958
都道府県 負傷者数
神奈川 75,621
東 京 72,681
大 阪 64,475
福 岡 56,718
愛 知 55,036
都道府県 死亡者数
北海道 613
千 葉 464
愛 知 442
茨 城 397
神奈川 391
備考
※北海道は10位
※北海道は10位
北海道が1位

人口10万人あたりの事故状況を比較する。

順位
1
2
3
4
5
都道府県 事故発生件数
神奈川 62,420
東 京 62,415
大 阪 55,208
福 岡 45,669
愛 知 44,958
都道府県 負傷者数
福 岡 1,151.2
群 馬 1,116.2
静 岡 1,040.2
山 梨 972.9
茨 城 919.7
都道府県 死亡者数
福 井 13.9
香 川 13.5
茨 城 13.3
山 梨 12.4
滋 賀 12.1
備考  
※北海道は40位
※北海道は14位
さらに道路延長距離、免許保持者数、自動車登録台数の各項目毎のランクもつけてみた。
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 北海道がワーストワンなのは、単純な死者数だけだ。⇒なぜ警察が死者数にこだわるのか?

 

■北海道の運転のマナーが悪いのか?

 北海道はよく「運転のマナーが悪い」といわれるが、その原因を明らかにしようとする動きはこれまでなかった。しかし、原因を探ろうともしないで、対策などが立てられるはずはない。

道政モニターへのアンケートより

『あなたは、道内のドライバーのマナーについてどのように感じておりますか。
次の中から一つだけ選んでください』

  • 非常によい (0.9)
  • 良い(1.9%)
  • 普通(21.5%)
  • 悪い(52.6%)
  • 非常に悪い(22.3%)

道政モニター500人へのアンケートの集計結果では、悪いと非常に悪いで78.1%を示している。

(下の図は小数点以下の処理の違いがあります)

北海道警察交通部監修の平成8年度『交通死亡事故抑止についての意識調査』より
※平成8年度を最後に、この項目はアンケートからなくなっている。

1.北海道に特徴的に見られる運転方法

①駐停車方法  路上に車を停める際、できるだけ他の車の迷惑にならないように路肩にしっかりと寄せない駐停車方法が一般的となっている。
②駐停車方法2  駐車場のある店舗において、少しでも車を入り口に近づけるために、駐車場ではなく入り口前の路上に駐停車するケースが多く見られる。
③ドアの開閉方法  道路左側に車を停めて、乗り降りや荷物の積み下ろしをする際、通行する車両への迷惑や危険を顧みないで右側のドアを開けるケースが多く見られる。
④左折方法  左折するときに2輪車の巻き込みを防ぎ、且つ直進車の進路を妨げないためにできるだけ左側に車を寄せることを考えない運転が一般的となっている。
⑤右折方法  右折するときに直進車の進路を妨げないために、対向する直進車の進路を妨げない範囲で、できるだけ右側に車を寄せるない方法が一般的となっている。
⑥大型車の運転全般  大型車において、他の乗用車に与える威圧感を考慮すれば乗用車より車間距離が広くするべきであろう。しかし、この車間距離を保持しない大型車が非常に多く見られる。また明らかに先行車にプレッシャーをかけている大型車の運転も多く見られる。
圧雪路面上において乗用車と大型車の動力性能、制動性能、安定性の差が小さくなっているとき、または逆転しているときに、これら大型車のケースは顕著である。
⑦意思表示  曲がるときにウインカーを出すのが遅いケースが非常に多く見られる。
⑧意思表示2  車線を変えるときにウインカーを出さないケースが多く見られる。
⑨少しでも前へ  赤信号で交差点内に停車を余儀なくされることが予見できるにもかかわらず、交差点に進入する車が多く見られる。
⑩車線減少時  車線が減少する道路において、本流に車線移動するタイミングが早くなされており、また本流の車線に合流しようとする車を入れない努力をする運転が一般的である。
⑪駆け込み進入  信号機が黄から赤に変わったあとも、交差点への駆け込みは続く様子は一般的である。
⑫見切り発車  青信号に変わるまえの見切り発車は北海道のドライバーは当然のように行う。
⑬車間距離  先行車をアオるために車間距離を著しく縮めて走行するケースが多く見られる。特に路面が圧雪状態のときに顕著である。

相対的
絶対的
一般的となっている   過半数
非常に多く見られる 少しはあるものが非常に多くある 40%
多く見られる 少しはあるものが多くある 30%
少なくない ほとんどないものがある 20%
“主観”の位置付け
「(非常に)多く見られる」とする根拠は、私のよく知る横浜川崎地区と比較して感じることである。
より公平な評価をするとしても、道内外の道路交通事情を知るひとりひとりの印象を積み重ねる方法に頼るほかはないだろう。その意味で私の印象もその一部になり得るはずだ。

2.推論

上記の各傾向を考えられる要因別に分類すると次のようになる
推論1

降雪期の道路状況の影響が考えられる
①駐停車方法
②駐停車方法2
④左折方法
⑥大型車の運転全般
⑪駆け込み進入
⑫見切り発車
⑬車間距離
推論2.

寒冷による影響が考えられる
②駐停車方法2
推論3.

北海道独自の道路規制の影響が考えられる
④左折方法
⑤右折方法
⑥大型車の運転全般
⑩車線減少時
推論4.

郊外と都心部の交通事情の格差による影響が考えられる
①駐停車方法
②駐停車方法2
③ドアの開閉方法
④左折方法
⑤右折方法
⑥大型車の運転全般
⑦意思表示
⑧意思表示2
⑨少しでも前へ
⑩車線減少時
⑫駆け込み進入
推論5.

北海道民の気質の影響が考えられる
①駐停車方法
②駐停車方法2
③ドアの開閉方法
④左折方法
⑤右折方法
⑦意思表示
⑧意思表示2
⑨少しでも前へ
⑩車線減少時
⑪駆け込み進入
⑫見切り発車
⑬車間距離

推論5.「北海道民の気質の影響が考えられる」に注目する


④左折方法
 他の都府県と比較すると、北海道は進行方向別通行区分の規制が極端に少ない。
 そして、左から二番目のレーンから回り込んで左折する車がとても多い。とうぜん、最も左のレーンに並んでいる車のドライバーにとっては面白くない。そして左折の際に、右側のレーンから回りこまれることを避けるために、あまり左側に寄らなくなったと推測される。>

⑤右折方法
 北海道は、進行方向別通行区分が極端に少ない。片側3車線であっても、右折専用レーンがない道路も、当然のように存在する。その結果、道路中央に右折車が停留するのは当然であって、いち早く右折車を発見し、それを避けることが北海道での熟練ドライバーには要求される。
 一方の右折車は、「後続車が避けるのが当然」とばかりに、直進車の進路をさえぎることへの遠慮がなくなり、右折のために右側に寄せることをしなくなったと推測される。

⑥大型車の
運転全般
 北海道では、道路中央に右折車が停留するのは普通であって、それをいち早く発見し、を避けることがドライバーに要求される。
 困ったのは大型車だ。乗用車のように容易な車線変更はできない。また制動してしまえば、“クルマの流れ”をさらに悪くしてしまう。さらに、大型車のドライバーは減速加速の繰り返しを乗用車のドライバー以上に嫌う。
 結果として、多少無理があっても右折車を避けるためにレーンを変更するようになったいったと推測できる。

⑩車線減少時
 他の都府県と比較すると、北海道は進行方向別通行区分がして極端に少ない。
 急ぐ車は、右車線に停留する右折車をかわしながら走る。中央レーンに並んでいる車は、中途半端な右折用通行区分を直進するクルマに追い越されて不満を感じる。結果として、道路表示や標識に沿って、または最も安全な車線を選んで走るドライバーは、割り込みを嫌って車間距離を詰めて走るようになっていったと推測できる。

推論3.「北海道民の気質の影響が考えられる」について

 道民と道外の日本人はほとんどが同じ大和民族であり、その気質に大きな違いはない。気質が生まれてからの家庭環境や経験によって形成されていくように、「運転上の気質」が形成される過程には、教習所での教育、道路での経験が大きなウエイトを占めるはずだ。つまり、運転上の気質に最も影響を与えているのは、推論5.の北海道独自の道路規制にあるのだといえる。

推論5.と推論3.が原因と考えられるものを統合する

 推論5.と推論3.が原因と考えられるものを合算すると、すべてが該当する。 つまり、北海道のドライバーに指摘される運転の特徴のすべてが、北海道警察の実施する交通規制の影響を受けいるのだといえる。

  推論1 推論2 推論3 推論4 推論5
①駐停車方法    
②駐停車方法2  
③ドアの開閉方法      
④左折方法  
⑤右折方法    
⑥大型車の運転全般    
⑦意思表示      
⑧意思表示2      
⑨少しでも前へ      
⑩車線減少時    
⑪駆け込み進入    
⑫見切り発車      
⑬車間距離      

 

■北海道の交通規制の特徴

北海道の道路

 右折レーンがないのが北海道の最大の特徴。レーンだけではなく、進行方向を示す矢印(道路表示)も極めてすくない。

北海道以外で一般的な道路

 右折車と直進車は同じ車線には共存できないので、交差点での「右折車分離」は基本だ。

北海道独特の区画方法が、ドライバーにストレスを与え、強引な運転をせざるを得ない状況を作っているのではないだろうか?

道路標示は誰が引くのか?

国道
道道
その他の道路
  警察 開発局
横断歩道
停止線
中央線  黄
車道外側線
区画線
  警察 北海道
横断歩道
停止線
中央線 黄
車道外側線
区画線
  警察 市町村
横断歩道
停止線
中央線  黄
車道外側線
区画線
  ※札幌市内の道道は政令指定都市である札幌市の所管となる  

札幌の一般的な交差点 (右折レーンも進行方向を示す矢印もない)
 
 
 

札幌市東区:東8丁目「篠路通り」と「北3条通り」の交差点
大きな地図で見る
 
右折レーンのない右折分離信号は、ドライバーを混乱させる
  東8丁目通りは道道であり、交通量はかなり多い。そして、この交差点には、右折車分離信号がありながら、道路標示に右折車のための配慮はない。多くの直進車は左側のレーンで通るが、右レーンから直進しても違反にはならない。したがって、渋滞する左レーン並ぶクルマは、右レーンを直進するクルマへの不公平感を持つ。一方、右レーンを直進するクルマは、左レーンの直進車と、右レーンの折車の間をぬって通りぬける。
 また、右折が青なのに、直進車が右レーンをさえぎることも多い。さえぎられたドライバーのイライラ感は想像にかたくない。

 

道民の「声」
-ドライバーは右折レーンを望んでいる-

 北海道管区行政監察局は、札幌市役所を始めとする行政相談の窓口を設けて、行政に関する苦情・相談を受けている。

 平成9年度に受けた行政に関する事案 7,455件のうち、道路に関する相談は963件と最も多い、苦情・相談内容をまとめる部署の担当者に確認したところ、「道路に関する苦情・相談のうち、右折レーンを作って欲しいとの要望は多い」と感じるとのこと。

 なお行政監察局は苦情・相談を関係当局に通知するが強制力はない。また行政監察局の通知に対して、関係当局からは返事がないものも少なくないそうだ。

 

北海道警察の見解

 北海道警察交通部に「なぜ交差点の右折車分離に消極的なのか?」と確認したところ、「冬季の積雪で見えなくなるから」という答えであった。予想はしていたが、「冬に見えなくなるから、やったって仕方がない」と聞こてしまう。
 また、道路標示業者の 「塗り替えを容易にするために、できるだけシンプルにしたい」という考えも作用しているはずだ。

スパイクタイヤと道路標示の関係
 スパイクタイヤの規制前には、多くのクルマがのパイクタイヤによって、道路標示は削られ、春になって路面が現れると、道路標示がすっかり消えてしまっている場所も少なくなかった。そしてスパイクタイヤの装着車がいなくなるころに、道路標示はいっせいに塗り替えられていた。
  1991年度(平成3年度)から札幌市はスパイクタイヤを規制し、その後は“道路標示の痛みの具合”は劇的に変わったはずだ。もはやスパイクタイヤに削られることはなく、それどころか、数ヶ月間雪と氷に保護されているので、雪のない地域よりも道路標示は長持ちしても不思議ではないはずなのだ。

北海道道路標示談合事件

 1999年5月、北海道警と北海道開発局の天下り先である社団法人北海道道路表示業協会と任意団体の北海道安全施設標示協会に加盟する42社は、道警や開発局が発注する横断歩道などの道路標示工事の受注価格を高値で安定させる目的で談合を繰り返していたとして、公正取引委員会に独占禁止法違反で排除勧告を受けた。
 公正取引委員会の指摘を受けた開発庁OBは事実上談合を認めている。

 この談合事件で気になるのは北海道新聞社の取材に対し、北海道道路表示業協会の専務理事は、「業者がやりたいと言えば、(こちらは)いいんじゃないかと言う」と答えていることにある。
 つまり、道路表示が業者任せに実施されていることを、北海道道路表示業協会は認めていることになる。

 道警本部交通施設課は、この問題に対して「信じられない」とコメントを出している。しかし、安全施設表示協会の前身{北海道交通安全標示協会)は、1980年にも組織的な談合を取りまとめていたとして独占禁止法違反で公正取引委員会の排除勧告を受けている。
  また道路標識等では1997年に岡山で談合事件が発覚しており、公金を公益のために適正な方法で支出する責任を怠ったのは明白だ。

1999年2月23日道警で行われた入札の結果
公正取引委員会調査期間中の入札であり。通常以上の配慮があったはずだ

 入札幅の予価に対する平均値は1.02%、入札価格は予価の93.08%、入札比較価格の102.42%であった。
 この日だけで5億3245万円の入札が実施された。5億5450.5万円が定価の商品を6.92%の値引きで買ったことになる。
事前の談合があったことは容易に推測できる。


脱スパイクタイヤと道路表示

道警が発注した道路表示工事の推移を表したものを次に示す。※出展:『主な施策の成果説明書』
種 別
H1年度 H2年度 H3年度 H4年度 H5年度 H6年度 H8年度 H9年度 H10年度
横断歩道(箇所)
28,273
28,725
30,023
30,923
31,928
33,023
34,223
35,323
36,423
図示表示(箇所)
47,353
58,915
58,540
62,230
65,917
70,110
74,170
79,123
83,813
実線表示(km)
5,508
5,325
5,425
5,368
5,542
5,462
5,534
5,839
6,244
減速マーク(箇所)
3,200
3,250
3,350
3,500
3,700
3,950
4,250
4,350
4,450
車線分離鋲併用表示(箇所)
100
100
200
1,000
300
300
200
578
578
自発光式交差点鋲(箇所)
 
 
10
 
 
 
 
 
 

平成3年度4月1日からスパイクタイヤの規制が始まったので、その効果は平成4年度から目に見えて減少して良いはずだ。しかし、統計は増加の一途をたどっている。















交通行政監察官室札幌市の駐車規制について