「飲んだら乗るな」のウラ表
![]() 2002年改正の発端は、常習的な飲酒運転を行っていたトラック・ドライバーの重大事故にある。それゆえ 「軽微な酒気帯び運転」までも罰則化する必要はないのではないだろうか。 それに実際のところ「ビール少しなら」というドライバーは結構いるはず。 ただし、「ビール少しなら」と思っていても、「飲んだら乗るな」という金科玉条に対抗することはできない。だからオモテ出る意見は「飲んだら乗るな」ばかりになってしまうのだろう。 どうにも「日本的な裏と表」を感じてしまうので、海外の飲酒運転に関する規程を見てみよう。 アメリカでは飲酒運転の規程が州ごとに定められており、 血中アルコール値(BAC)が0.08%または0.10%を越えるとペナルティを課す州が多いようだ。 その中で、最も厳しいオクラホマ州のボーダー0.07%という数値がどの程度の飲酒なのかをさらに調べてみた。
ここで注目すべきは、事実上、飲酒の許容量を公開していることだ。 もちろん但し書きがついているが、但し書きの最後は次の言葉で締めくくられている。 “The best policy is don't drink and drive” 訳すと「ベストなのは、飲んだら乗らないこと」になる。 「飲んだら乗るな」で一辺倒のニッポンとは大違いだ。 頻繁に「悲惨な死亡事故」が引き合いに出される日本では、「ビール少しなら」とは決して口にできないのである。しかし、低い速度規制が取締りへの反発を招いているように、 低い酒気帯び基準がさらなる反発を招く可能性は高いのではないだろうか? ところで、 取締る立場の警察官のひき逃げ・あて逃げは、決してめずらしい事件ではありません。 そしてこれらの中には、飲酒運転の発覚を恐れて逃げた事件もあります。 これらの事件は、警察も「飲んだら乗るな」を徹底できない、ということを示しています。 警察不信対策として現場の警察官に厳しい締め付けが敷かれているはずなのにできないのである。
「軽微な酒気帯び運転」の罰則化は、「悪質な飲酒運転」の抑止効果より、 ひき逃げ事件の増加を助長する効果の方が高いのではないだろうか? 少なくとも、酒気帯びを隠そうとしての当て逃げは激増するはずだ。なぜなら、その場で正直に申し出れば、「飲酒運転」の行政罰を受けるからである。逃げてしまえば、うまくいけばバレないし、捕まったとしても呼気中のアルコール量は減っている。つまり「飲酒の事実が隠せる」のだ。 一般ドライバーに広く認知されるより数ヶ月も前から、警察では「綱紀粛正」という職場を挙げての飲酒運転禁止運動が行われているはずだ。この期間に起こる警察職員のひき逃げと飲酒運転の報道を“読む”ことによって、「飲んだら乗るな」の徹底がどのような“効果”を呼ぶのかを考えてみよう。 |