WHAT'S VICS

  簡単にいえば、カーナビゲーションに地図だけでなく、渋滞情報を表示させる仕組みのこと。 したがって、VICSの特徴はその双方向性にあるといえる。ただし、このセクションでは、VICSだけでなく、ビーコンを使っての交通情報収集システム全体について記す。
VICSのイメージ

 左のイメージ図は、複数のカーナビ・メーカーのカタログに記載されているイメージ図を模したものだ。こうしたカーナビ・メーカーでは抜け道という言葉がキーワードとされているように、現時点におけるVICSのセールスポイントは、渋滞情報を事前に察知することにある。
 ところで、図上の光ビーコンは、“送信”の役割を示しているが、渋滞情報を受信するのも光ビーコンを含む各種のビーコンである。


警察の公共事業

  「渋滞情報を表示させる」と書くと簡単のようである。しかし、幹線道路だけでも複雑にはりめぐらされた道路を、さらに区間で区切って、それらの渋滞情報を収集し、取りまとめ、それを解析して“使える情報”にして、ドライバーに送り出すには莫大なインフラが必要になる。 そして、これらインフラのほとんどを引き受けるのは、都道府県警察である。

 抜け道案内がどれだけ社会貢献するのか?ここでは問わないが、根本的な疑問は、莫大な費用のかかる事業を警察にまかせてよいのか?にある。なぜなら

  • 交通インフラにおいて、警察の不正は数多く発覚している。
  • 公共事業の無駄をなくすための安全装置がない。
    公益性を測るためには情報公開が必要だ。しかし警察本部長が情報開示を拒絶する「例外規定」がなくならない。
  • そもそもニッポンの交通警察行政は「警察消極の原則」からはずれている。
    道路交通情報を警察が握る国は日本くらいしかないのだ。

発表されない費用はだれが負担するのか?

VICSセンターの発表する費用対効果
項 目 項目ごとの経費と効果 20年間の費用と効果
経費 効果
情報収集 既 存 1兆2000億円
情報処理・編集 VICSセンター負担 330億円
情報提供 既 存 3700億円
情報活用 端末購入者 8000億円
時間短縮効果 7兆3000億円 7兆7000億円
燃料消費減効果 4500億円
「ITS道路・交通・情報システムとそのアクションプログラム」 
地域科学研究会 1996年12月発行

 VICSセンターの試算では、情報集と情報提供は既存とされ、費用はかからないことになっている。たしかに、情報集だけなら既存のビーコンでも可能であるが、情報提供には光ビーコンが必要だ。にもかかわらず、この本(1996年発行)では、ほとんど設置されていない光ビーコンを既存だとしている。そこに疑問を感じて、東京新橋の交通管制センターで聞いたところ、警視庁管内のビーコンは95%が超音波式ビーコンとのこと(1999.7.29)。事業の効果にお手盛りをするのはどこの役所も同じであるが、ないものを既存として、費用を一切測らないやり口は、納税者に対する欺瞞であると言わざるを得ない。

 そして現在、カー用品店で販売されるカーナビゲーションにはあたり前のようにVICSが搭載されている。そしてVICSは幹線道路のほとんどをカバーするようになったようだ。興味のある方はVICSセンターに情報提供エリアが拡大する経緯が記してあるのでご参考ください。

  • What's VICS
  • 警察の公共事業
  • 費用は誰が負担するのか
  • カー用品店の売り場 立ち止まろうものなら、たちまち背後に販売員の視線を感じることになる。

    ビーコンの種類
    超音波ビーコン 光ビーコン
    このほか、国交省管理の電波ビーコンがある。



    参考資料
    ビーコンの数
    (1995年頃)
    一般道 94597基
    高速道路 5000〜6000本

    超音波ビーコンの機能
    光ビーコンに置き換えられつつある超音波ビーコンは、通過車両数だけでなく通過速度も測定可能だ。つまり、渋滞情報を収集するだけなら超音波ビーコンでも十分だったのである。

    VICSセンターの利益
    VICSセンターは補助金の他にメーカーから次の情報量を得ている。
    VICS端末1台当たりで株式会社VICSセンターが得る利益(従量技術料)
    地図標示型
    2000円
    簡易図形表示型
    1500円
    文字情報型
    500円
    1. センターが情報を開示したときの情報開示料
    2. 端末1台売れる毎の従量技術料

     

     
    TOP of this page