2003年05月作成

~おまわりさん もうやめてください~

容赦なき軽微違反への法執行








4月6日(土)~15日(月)の期間、毎年春と秋の2回が恒例の「全国交通安全運動」が行われた。

左の写真は、神奈川県警川崎警察署管内の市道におけるシートベルト着用義務違反の取締りの様子だ。

川崎警察署地域課では「県警本部からの通達に基づいて、シートベルトの取締りを行っている」とのことなので、県警本部の交通総務課に聞いてみた(2002.4.11)。

──誰の判断でシートベルトの取締りが行われているのか?

神奈川県警察本部長の判断である。
警察庁からは取締り内容についての指揮はなく、本部長の判断により、スピード違反、飲酒運転の取締りと併せてシートベルトを取締るように各警察署に通達を出した。

──交通安全運動は交通取締り運動なのか?

警察の仕事は取締りなので、警察の行う「交通安全運動」は取締りに直結する。

──なぜシートベルト違反の取締りを行うのか?

全国交通安全運動の推進項目に「シートベルト着用徹底」があるので、シートベルトの取締りを警察が行うのは当然だ。

考 察

たしかに「シートベルト着用徹底」という文句が交通安全運動実施要綱(内閣府)に存在する。しかし、この文句は「飲酒運転等悪質・危険な運転の追放」という項目に属している。つまり、目的は「悪質・危険な運転の追放」であり、そのために「安全意識の昂揚」が必要になるのである。そして、「シートベルト着用」を促すことは、「安全意識の昂揚」のためのひとつの手段でしかない。

もともとの目的(悪質・危険な運転の追放)からかけ離れた軽微違反の取締りは、「目的はどうでもよい」ということを警察が体現しているといえるのではないだろうか。


原付バイクはカモなのか?


この写真は、藤沢駅前の国道で白バイに捕まった原付の少年。

首都圏では、こうした光景はとても頻繁に見ることができる。白バイにとって原付バイクはカモなのだろうか?

ところで、原付の法定速度になっている時速30キロは、ママチャリでも出てしまう速度だ。もちろんエンジンのない自転車はライダーの体力に大きく左右される。しかし、ゆるやかな下り坂でもあれば、誰だって時速30キロくらいの速度に達する。

原付の法定速度が極端に低いことは、誰の目にも明らかだ。





次は横浜市内の国道(通称:新横浜通り)で、原付の外国人青年に詰め寄る二人の白バイ警官。

近くで見ていると、この外国人青年が警官に差し出した運転免許は、ニッポンの免許(都道府県公安委員会の免許)ではなさそうだ。

警察官はキップを切ることなく外国人青年の免許を返した。そして青年がエンジンをかけようとしたところ、警官は激しい声で青年に告げた。

「乗ったらだめだ!」

仕方なく青年はバイクを押し歩き出した。私はこの外国人青年に質問した。

──何の違反したの?(英語で)

ケイコク。35キロのケイコク(日本語)

質問をさえぎるように白バイ警官が割って入り、外国人青年は「イソイデマス」と言い残し、バイクを押し歩いて取締りの現場から離れていった。

所 感

白バイ警官が、加害度の低く、現実離れした法定速度を強いられた原付バイクを取締る光景は、弱いものイジメにしか見えない。