平成13年(ワ)第15800号 損害賠償請求事件
原 告  野村 一也
被 告  今井 亮一 外2名

準 備 書 面 (5)

平成14年1月22日

東京地方裁判所民事部第18部ろB係 御中

原   告   野 村  一 也

本件事件における,原告および被告らの論点について,原告は,以下のとおり弁論する。なお,この準備書面(7)は,CD5にHTML形式としても収録する

 本件訴訟の各掲示板において,被告今井は,原告の発言を「意味不明」「ワケわからん」「しょーもない」「破綻」「ムチャクチャ」「くだらん」などといった文句によって一蹴している。しかし,原告の発言と,被告今井の発言を比較すると,どちらかといえば原告の発言の方が論点が明確で、かつ論理的である。また,原告は,「批判」と「誹謗・中傷」とを区別しており,批判的な文句を使用する際には,その根拠を常に併記しており,「誹謗・中傷」に類する表現を用いたことはない。
  一方,被告今井は,原告をセンセーショナルな文句を用いて「誹謗・中傷」する手法で,被告今井自身の優位性をアピールしがちである。なお,「誹謗・中傷」とは,根拠なく批判することであり,実際,被告今井の原告に対する「中傷」には,根拠がないか,ないし不透明である。

第1 被告今井の活動に対する論点について
1.被告今井の活動内容について
(1)被告今井が掲げる活動の目的は,「悪質な運転をみなおすきっかけ」である。〈甲56の1
(2)その一方,被告今井は,「(取締りの正当性や違反が事実か否かを全く問わずに)納得いかなければ闘え!」と主張している。〈甲15-10〉《甲26の2#295
(3)また,被告今井は,週刊漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」において,「取り締まりに不服なら、主張しろ!!」というコーナーを持つ。
(4)しかし,取締りの正当性を問わなければ,「悪質な運転を見直すきっかけ」が提供できるはずもない。したがって,被告今井の主張する「悪質な運転をみなおすきっかけ」は,被告今井の活動を正当化するための単なる名目であるといわざるを得ない。
(5)原告は,取締り正当性を測る方法論及び警察変革の方法論を示した。《甲11の2中N0921》《甲11の3中N0924》《甲11の3中N0926》《甲11の3中N0927》《甲36の1#184》《甲36の4#423》《甲36の4#489》《甲36の4#598》《甲36の4#602
(6)なお,原告は,平成12年8月8日の時点において,既にこの論点を示している。〈甲15の13
2.被告今井の憲法論について
(1)被告今井は,憲法第12条の前段を好んで引用する。〈甲45〉《甲11の2中R0916》《甲36の5#483》〈甲44
(2)しかし,憲法第12条は「公共の福祉」を目的としており,違反者個人の不利益にかかる問題と直接結びつく条文ではない。
(3) したがって,交通取締りで捕まった違反者が個人の利益のために争うことを,短絡的に公共の福祉と関連つけるべきではないことは明白である。 しかるに,被告今井は,憲法第12条の前段だけを引用して,「(違反が事実であっても)納得がいかなければ闘え」と主張しており,憲法第12条を正しく理解していない,といわざるを得ない。
(4)平成12年9月,被告今井は憲法第12条の解釈について記し《甲11の2中R0916》,対する原告は,明快に被告今井の憲法第12条の解釈の問題を指摘した。《甲11の2中N0920
(5)以後,被告今井は原告を黙殺するようになった。
(6)したがって,被告今井は,原告への反論に窮して,原告を黙殺するようになったと推察すべきである。そうして,被告今井は,原告の指摘と向き合う勇気を失い,原告発言を黙殺しながら,原告への「誹謗・中傷」を続けたと考えられる。
(7)被告今井が,憲法第12条をもって交通取締りに「納得がいかなければ争え」という主張を正当化するのであるのなら,違反者個人の問題を争うことがどのように「公共の福祉」に結びつくのかを示す必要があるといえる。原告は,このことをさまざまな表現で被告今井に理解させようとつとめた。《甲11の3中N1109》《甲11の7中N0117》《甲11の6中N0108の3》《甲36の4#410
(8)対する,被告今井は,品位のない原告批判をエスカレートさせ,ついには,原告の人格をも否定する表現にエスカレートせていった。
(9)なお,原告は,平成12年8月8日の時点において,既に被告今井の憲法解釈の問題点を指摘している。〈甲15の13
第2.原告が提示した論点について
1.司法制度に現存する問題
ア 司法制度改革推進法の基本理念は次のとおりである。(第2条)
司法制度改革は、国民がより容易に利用できるとともに、公正かつ適正な手続の下、より迅速、適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築し、高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保その他の司法制度を支える体制の充実強化を図り、並びに国民の司法制度への関与の拡充等を通じて司法に対する国民の理解の増進及び信頼の向上を目指し、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとする。
イ つまり,現在の司法制度に問題が生じてきたために司法改革の必要性が生じ,そうして,司法制度改革推進法が制定されたのである。なお,同法第2条において「国民がより容易に利用できるとともに」と記されていることは,現在の司法制度が容易に利用できない現実を示している。
ウ このように,裁判が容易に利用できない現実が,「裁判」を持ち出されると泣き寝入りせざるを得ない人々を生じさせている。その反面,容易に利用できない裁判を行う人は,「損得ではなく,信念に基いて争う特別な人」であるかのように,認識される結果となっている。
エ 被告今井や訴外寺澤有のようなジャーナリストにとっての裁判は,知名度をあげる材料にもなり得る。いわば職務の一環として裁判を行うことができるのである。もちろん,ジャーナリスト自身が,行政裁判を手段とすることを否定する理由はない。しかし,被告今井が広く交通違反者にむけて,「納得がいかなければ闘え!」とアピールすることは,被告今井に同調する人々が「損得ではなく,信念に基いて争う特別な人」であるかのように認識させる効果が得られていると考えられる。なぜなら,司法制度は容易には利用できないからである。
オ 原告は,こうした司法制度の問題点について,何度も言及した。《甲11の3中N1112》《甲11の6中N0106の1》 《甲11の6中N0106の2》《甲36の9#1155》 《甲42の7#2764》 《甲42の3#2236
カ なお,原告は,平成12年7月28日の時点において,「裁判ゲーム」という文句によってこの論点を示そうとした。〈甲15の8
2.ジャーナリズムにかかわる者に求められる倫理観
ア 被告ら弁護人が運営するWEBサイト内のコンテンツ「報道について考える」より抜粋する。〈甲57
 私たちの現在の日常生活において、週刊誌というものが極めて身近な存在となり、大きな影響力を有するに至っていることは否定できないだろう。週刊誌に掲載されているのは、政治の内幕物や、事件物、そして芸能ネタなど、一般市民の関心を引きつける話題が多いことは確かである。しかし、週刊誌は、時にはある個人のプライバシーを暴いたり、名誉を毀損するような記事を面白おかしく掲載することがあり、新聞とは比べ物にならない報道被害が発生していることも事実である。特に、出版社系と言われる週刊誌の中でも『週刊新潮』『週刊文春』は、特定の個人を攻撃する傾向が強く、現に名誉毀損訴訟などが多く起こされ、敗訴している。
 私たちは、このような「週刊誌」の現状に疑問を抱くとともに、その原因を分析し、週刊誌をめぐる現在の状況を変えることに少しでも寄与したいと願うものである。
イ 〈甲57〉においては,週刊誌が題材とされているが,WEBサイトは週刊誌に並び得るメディアとして成長過程にある
ウ 被告今井は,昭和56年に『ザ・バイク』(毎日新聞社)のコラムでデビューし,現在では,ドライバー』(八重洲出版),および『XaCAR(ザッカー)』(三栄書房・CFM出版)に連載を持っている。〈甲58の1〉〈甲58の2
エ 本件事件において,原告の提訴を煽った訴外山崎喜宏は,本件サイトD(The Incidents)の副編集長を務め,写真週刊誌フラッシュの編集者でもある。<甲36の5>
オ 原告は,こうしたジャーナリズムの問題について,何度も言及した。《甲11の5中N1214の4》《甲30#1831》《甲36の2#961》《甲36の11#1119甲36の11#1167甲36の11#1642》《甲36の7#2171》《甲36の2#596》《甲42の7#2760
カ なお,原告は,平成12年7月26日の時点において,既にこの論点を示している。〈甲15の20
3.メディア・リテラシーについて
ア 原告は,メディア・リテラシーについて,何度か言及した。《甲11の1中N0906の4》《甲11の4中N1203》《甲36の1#1653》《甲42の18#4150》《甲42の19#2748》《甲36の2#397
イ 被告今井は,「リテラシー」の意味すら知らなかった。《甲36の1#217
イ なお,原告は,平成12年7月26日の時点において,既にこの論点を示している。〈甲15の20
4.モラル・ハザードの原因(アカウンタビリティの欠如)について
ア 原告は,モラル・ハザードの問題について,何度か言及した。《甲30#1831》《甲36の7#1110》《甲42の5#2508》《甲42の7#2764
イ 被告今井は,「アカウンタビリティ」の意味すら知らなかった。《甲36の11#1167甲36の11#1128甲36の11#1642
ウ なお,原告は,平成12年7月26日の時点において,既にこの論点を示している。〈甲15の20
第4 被告今井は,本件事件提訴後も,「ワケわからん」と,原告批判を続けている。
1.平成13年10月10日付け,本件サイトB「今井亮一の交通違反相談センター」中,「焼糞日記」 《甲47の2》より抜粋
そもそもBBSにおける彼の投稿は、私としてはワケのわからないものが多く、それで「ワケわからん」とか私が感想、評価を投稿したらその「ワケわからん」とかいう言葉を切り取って、名誉棄損だ賠償しろという、私にしてみれば非常に奇っ怪な提訴なのである。
2.平成13年11月1日付け,本件サイトB「今井亮一の交通違反相談センター」中,「焼糞日記」 《甲47の1》より抜粋
きょうは1日中パソコンの前に座ってたので昼飯通信なし。じつはネここ1週間くらい完全にほらあの“ネットストーカ裁判”(10月10日の日記参照)の書面づくりをやってたの。こんなに集中して仕事したことないよもォ。あとで短くするかもしれんけど、とりあえずどれくらい書いたのか試しに400字詰めの書式にしてみたらナンと約260枚。単行本1冊分じゃあん!! どーしてこんなに集中できたか。「月刊交通違反」on the web のBBS別館の過去ログほかを読み返して改めてびっくり仰天しまくったてのが一番の理由だねえ。たとえば「アッキー君」の「東芝事件特設掲示板」を今井が「設け」て「運営」してたと原告は当時言い、私が「アッキーさんのことはよく知らないのですが」と返したら「神奈川県警前本部長深山氏も真っ青の開き直りには、開いた口が塞がりません」とくる、てな具合。

※なお,「東芝事件掲示板」について,原告が何度注意しても,被告今井は同じ“すり込み”を繰り返し続けている。
甲36の5#1078》《甲36の14#1877》《甲42の14#4191

第5.被告今井が提示した論点については,準備書面(6)に記す。
第6.結論
以上のように,原告の発言は討論の目的が明確である。また,建設的な討論から離れないようにするために,被告らの「誹謗・中傷」に対しても,「誹謗・中傷」の類をもって反論したことはない。
一方,被告今井は,原告意見の本質に触れようともせず, 原告をきちがい扱いする表現を続けている。この被告らの行為は,ジャーナリストの影響力を利用して,被告今井の支持者を巻き込み,原告にリンチを加えたといっても過言ではない。
以 上